すごい会議

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CASE STUDY すごい会議の実施例

数字を見通す力でマネージャーの成長と 増収増益を手に入れた一年

株式会社ダイアナ

設立
1986年
資本金
16.54億円(資本準備金含む)
従業員数
245名(2022年12月末現在)
事業内容
①プロポーションメイキングの総合コンサルティングフランチャイズ事業
②ビューティライフスタイル事業
③フードライフスタイル事業
④ファッションライフスタイル事業
担当コーチ
太田 智文

2年かければ会社は絶対変わる

「すごい会議」を始めたきっかけは何ですか?

徳田:1年ほど前、幹部たちが育っていない、まずいな、と思ったのが始まりです。
2020年のコロナ禍は当社にとって緊急事態で、社長の私が陣頭指揮をとりました。サロン(フランチャイズ店舗)に人を集めるビジネスなのに集まることができない。赤字覚悟でフランチャイジーのみなさんを守ると決めて、インターネット販売を強化し、売上がサロンに入る仕組みにして、蓋を開けたら増収増益で終えることができました。
しかし翌年、幹部たちに任せてみたら、厳しかった。とくに、自立して動くこと、幹部同士で事業部を超えてきちんと議論すること、PDCA を論理的に回すことなどがしっかりできていないと思いました。「社長の仕事は次の社長を育てること」だと思って経営してきたんですけどね。
ピグマの太田智文コーチとは10年くらい前からの知り合いで、定期的にご連絡をいただいていました。基本的に私はコンサルタントって好きじゃないんです。太田さんはいつも営業の話はせずに、たわいもない話だけしていました。ちょうど危機感をおぼえたころに訪問いただいたので、初めて真剣な相談をして、まずは管理職向けの小さなワークショップを一度やってみることにしました。

ワークショップは、実際やってみてどうでしたか?

徳田:やってみると、「うちの幹部、こんなにもできないんだ」と実感しました。聞かれたことに答えられない、数字で話せない。
私の側の問題にも気付きました。我慢できずに答えを言ってしまうんです。たまに叱ってしまう。そして部下たちは自分で考えなくなっていた。「ワンマン社長が何とかしてくれる文化」が浸透しているんだなと思いました。
しかしワークショップで太田さんが司会(ファシリテーター)をすると、太田さんは相手に考えさせる。参加者たちが、いい感じに戸惑っていた。戸惑いつつも受け入れている感じもあった。女性中心の組織なので厳しい激詰めのようなのは合わないのですが、太田さんは適度な柔らかさがある。話も論理的、合理的でわかりやすい。初回の後で私は、「本気でちゃんとPDCA が回せる組織にする、2年間やりきりますよ」と幹部に宣言して、すごい会議を2年計画で始めました。

2年計画ですか。なぜ2年間なのですか?

徳田:2年かければ会社は絶対に変わるからです。小さいところだと3ヶ月でも変わる。ただ、外部のコーチがいなくなったらすぐに元に戻る。時間をかけて習慣化し定着すれば、そのまま育っていきます。当社では、まず2年は必要だなと思いました。
本気で変えるために、太田さんには会議だけでなく、「人事にも口を出してくれ」と頼みました。社員からすれば、外部役員が1人、入ってきたような感覚だと思います。

「数字を正しく見通す力」を育てる

なぜ今までは、「PDCAを回せる組織」が育っていなかったのですか?

徳田:このビジネスの難しさは、流れ作業みたいな商売ではないこと。「女性の感情の塊」でできたバランスボールの上にのっかてるようなものです。いつ相手の気持ちが変わるかわからなくて、おかしいなと思ったらすぐ手を打たなきゃいけない。企画を考えても、スッと企画が浸透してうまくいくこともあるし、そうじゃない時もある。ときには宗教家のようになって大切な想いを伝えることもあります。
同時に、データビジネスの側面もある。数字(経営指標、KPI)を見るということ自体は、会社の文化としてあります。KPIも、たとえば「サロンでの体験数」など数えられるだけで30個ぐらいあります。全国約730のサロンを全部見るわけにはいきませんが、数字には出てきます。行動を数字で追いながら、 PDCA をぐるぐる回していく経営です。
この感情と数字のマネジメントを両立させるのが難しいんです。

感情と数字のマネジメントを両立させるのが難しいというのは、どういうことですか?

徳田:経営上の数字はあまりにも多いので、どの数字を見て、どれをピックアップして、どうメンバーに共有していくのか、というのが経営センスです。重要なKPIを3つぐらいに絞って、そこに対して執着していきます。
「今本当に見るべきKPIは何か? それはなぜ? この数字にイレギュラー出ているよね? うまくいかないのはなぜ?」ということを、気づくか気づかないか、で差がつきます。
ここで大事なのは「正しい見通し」なんです。「この数字で、正しく目標に向かっているのか?」という見通しができれば、異常値も発見できて手が打てます。気づくのが1週間遅れれば、打ち手も1週間遅れます。そんな「見通す能力」が経営幹部に必要な数字を見る力です。
社長の私なら、見れば異常値がすぐにわかる。大量の数字の中から見えてくるんです。「このままではうまくいかない」と見通せるわけで、「ああしろ。こうしろ」と言える。でも同時に、私が先回りして言うから幹部が深く考えなくなっていました。

「数字を正しく見通す力」を育てる必要があるのですね?

徳田:そうです。すごい会議の目的は、HL管理職が自分で見通しを立てられるようになることです。見通しを立てられれば打ち手を各現場でいち早く打つことができるようになります。見通せなければ、打ち手も打ちようがありません。
だから、「目標を必ず達成する」というコミットメントには、数字を見通せる能力が必要なんです。精神論ではありません。

なるほど、目標達成と見通す力とは一体なのですね。徳田社長ご自身は、どのようにして数字のセンスを磨いてきたのですか?

徳田:私はなぜ数字が見えるのか? 社長という立場が一番コミットメントが強いからだと思うんです。見通しをまちがえると、最悪、会社が潰れます。以前の会社の経験ですが、手形をちゃんと落とせるか、毎日CFOと一緒に資金繰りを確認していた時代もありました。
ファンド傘下の会社の場合、ファンドのとびきり頭のいい人達から「この数字でいいんですか?!どうするんですか?」と詰められます。きちんと説明できないと「社員を削減しなさい」と言われてもおかしくありません。これは辛い。だから僕は誰よりも早く見通しを立てて、「こうします」と先取りでストーリーを語らないと。
「オーナーシップ」のマインドとは、そういうことです。見通しを間違えると、痛みが自分にくるんです。見通す力を高めることで、生き残れるわけです。

ファシリテーターが入ることで、「社長 ― 幹部 ― コーチ」という「三角形」ができる

なるほど、「オーナーシップ」と「数字のセンス」も一体なのですね。これらを同時に「すごい会議」で鍛えていくのですか?

徳田:ええ僕がしてきたような体験を部下たちはしてきていません。経営の数字はあっても、本当に「自分の数字」として使っていなかった。その機会がなかったんです。それを今、「すごい会議」でやろうとしています。
今、幹部クラスが、「シンプルに聞けば聞くほど、考えること答えることが難しい」という経験をしています。
自分で考え始める、という経験が一番大事です。
まず自分でしっかりと考えてみる。そこで作ったものに対して、私も含め幹部同士がアドバイスをしあうことになる。結果的には同じようになるかもしれないけれども、「自分が作ったアイデアだ」と思えることでやる気になるし、継続する。
そして、今度は自分のメンバーに対して同じように問いかけていくと、その周りが考え始めていくはず。こうして会社全体に、自分で考える文化が広まっていくはずです。
時には、それぞれの施策に対して、売上がどれだけ出るか、利益に繋がっているか、本当に効果があるのかをどう効果検証をするかを、部署を超えて議論するということも大切なのです。

「すごい会議」はなぜ機能するのでしょうか?

徳田:なぜ、すごい会議が機能するのか? 三角形の構造が効いていると思います。
今までは「ワンマン社長と部下」という「1対1」の関係でした。社長の言うことを聞かざるを得ない、隙間のない関係です。でも本当のところは、「社長が言っていることは聞かざるを得ないけど、正しいかどうかはわからんぞ」ということですよね。
この1対1の関係に一人ファシリテーターが入ることで、「社長(私) ― 幹部(本人) ― コーチ」という「三角形」ができます。しかも太田さんはたくさんの会社を見てきて、客観的に発言される。その方がそう言っているということで、「安心して議論ができるスペース」ができる。こうして、「社長はこう言っているが、実際どうなんだろう?」ということを考え始めるようになっていると思います。
1つ面白いのは、同じことを社内でやると、急に発言しなくなります。「自分の言うことだけは言うが、他の事業部には関わらない、質問などもしない」という状態に戻ってしまう。太田さんが入った時でないと、役員同士の議論は今のところ起きてない。
「誰しも完璧ではない」という前提で、それぞれのアイデアを出した方が、未来にとってはいいはず。他の事業部に対しても、お互い協力し合って、より貢献できてもいいはず。せっかく同じ会社にいて、同じ方向に向かっているのだから。

最後に、今後の展望を教えてください

徳田:すごい会議を進めていく中で、ダイアナをグループ経営に進化させる、という構想が浮かんできました。それを2024年から始めます。そのためにも、何人かの社長を育てる必要があります。
私は今56歳です。35歳ぐらいから経営の仕事を始めて、ダイアナに来た時も41歳ぐらいで、若い社長だと思っていたんですけど、歳はとりました。だから次の社長を育てていきたい。社長だけにしかできない仕事は、次の社長を育てることです。
すごい会議をこれからもう1年やります。もし足りない場合はもう1年やります。それでもまだ足りないとは思いますが、手応えがあります。

太田 智文 おおた ともふみ

株式会社ピグマ

49歳。兵庫県明石市出身。神戸大学卒。大学卒業後、ベネッセコーポレーションに就職。
28歳の時に現在の会社ピグマを創業。21期目。
すごい会議マネージメントコーチ14年目。MBTI認定ユーザー。国際コーチ連盟プロフェッショナ ルコーチ(CPCC資格保持) 。バリューファクター認定トレーナー。
過去180社以上の会社でのすごい会議導入の実績。

「本質」に向き合い組織として一段高い基準を手に入れること、行動の量と質とスピードにこれまでにない違いを起こすことを約束します。

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