株式会社アンカーマン
どのようにすれば今までの延長線上にない未来を創れるだろうか?
伊藤:今年から業務用の美容機器を美容室にレンタルする事業を始めました。美容室で髪を切ると、うなじ部分の毛が気になるという方は意外と多いんです。美容室のメニューに脱毛をマッチさせ、時間や空間を有効活用する。施術時間は3分程度で機械の操作も簡単。美容室としての差別化になり、収益アップも見込めます。
強みは、初期の導入費用を限りなく抑えて機器を貸し出しできる点です。無料のお試し期間などでコストを軽減し、契約期間のしばりもなし。自社開発のオリジナル機械だからこそできています。
伊藤:いち早く組織化したいと思ったからです。別事業もあり、更に次のビジネスアイデアもある中で、とにかく時間が足りない。私がいないと会社が回らない状態では困ります。
以前、別事業で「すごい会議」を導入した際に組織化に成功し、理想とする状態に持っていけたので、今回は新規事業の立ち上げ初期段階から入ってもらうべきだと判断しました。
和田:新規事業については、構想段階から月に1回のペースで伊藤さんと会話してきました。ビジネス構造、強み、課題、1年後や3年後のゴール。必要な組織のあり方が明確になったことで、今年の6月から正式に導入いただいています。
伊藤:私や特定の誰かがいなくても、社員一人ひとりが自分で考え、このビジネスの発展を目指す行動ができること。組織化=「自走する組織」をイメージしています。
別事業では、導入前は一から十まで私が指示する必要がありましたが、今は8割が社員任せ。社長の私の指示がなくても勝手に会社が回っているので、私はこの新規ビジネスに重心を置けています。
伊藤:まずは「すごい会議」らしく、高い目標を設定しました。主に契約台数へのコミットです。とはいえゼロからの立ち上げなので、何もない。目につくのは目標へのギャップと問題だけ(笑)。
最重要課題は営業活動。でもメンバー全員が初心者で「営業って何?」という状態です。私たちが向き合った問題は、「どのようにすれば」アポイントが取れるのか、「どのようにすれば」契約に行き着くのか。そして「どのようにすれば」契約数を増やせるのか。次々表れる問題へのアプローチは、全て「どのようにすればできるか?」。
その結果、個別の紹介営業から始め、販売代理店の営業ルートを開拓したことで、契約数は飛躍的に伸びました。しかし今度は納品が間に合わない。納品マニュアルもない(笑)。進む度に問題が変わり「どのようにすれば」を繰り返す。でも着実に前に進んでいる。これでいいんです。
伊藤:新規契約が確実に取れ始めたことですね。販売代理店と契約したことで急激に契約数が伸び、予想を超える数の契約が決まりました。
個別の契約だけでは目標数に達しないことが見えていたので、早めに「どのようにすれば目標の契約数が達成できるか?」の疑問文と向き合い、他社や他業界の事実を調べてアイデアを出し合ったのが良かった。今は販売代理店を増やしながら、SNSやWEBマーケティングも強化する方向で進めています。
伊藤:会議に参加したメンバー3名が「自分たちで動く」ことができている。それが何よりの成果です。
メンバーは全員20代前半で、ほぼ社会人経験がない状態からのスタート。彼女たちの成長が鍵です。自分で考え、進んで動く。彼女たちがそう動くよう仕向けることに成功したのは、まさに「すごい会議」のおかげ。和田さんがいなければ、何から何まで私が指示して今ごろ大変でした(笑)。
和田:私が意図して質問したのは「いつまでにやりますか?」「どのようにすれば期限内にできますか?」「どのようにすれば同じエラーが二度と繰り返されませんか?」です。
やらされている状態で使っても逆効果ですが、「すごい会議」の仕組みを使って自主性を高めていることで、質問が効果的に働きました。
伊藤:自分たちで決めること、でしょうね。会議の場を使って目標を立てる。問題を見つける。解決策を考え、みんなの前で「やる」と約束する。全て「自分たちで」やるから行動が起こりやすくなる。
決めたことを週次の会議でチェックする仕組みもあるので、手を抜くとすぐに数字に表れます。逃げられない(笑)。
この構造があるから私は細かいことを言わずに済んでいて、彼女たちに比較的自由にやってもらえる。考えて動かないと数字はつくれないけれど、うまくいっている分手応えもあるんじゃないかな。
伊藤:直近の問題解決会議ですね。開始時刻になっても始める準備ができていないし、遅刻者までいる始末。社会人としての自覚の甘さですね。その日の会議は5分で中止、和田さんにもお帰りいただきました。
その後は彼女たちだけで3時間話し合い、最終的には彼女たちから和田さんに交渉して翌朝5時半から再度実施していただくことに。「誰がリーダーシップを発揮するのか」と私が尋ねると、全員が「自分」と答えたので、そこから少し全員の意識が変わったかな。
和田:あの日を境に彼女たちのあり方が変化し、コミットも強まった印象です。パフォーマンスを向上させるための個人特訓も始めていて、行動を確かにする、期日意識を高める、自主性を上げるサポートをしています。
和田:二段階あって、今はまず個々のプレーヤーとしてのパフォーマンスを引き上げること。そして次は、人員を増やしたときに、彼女たちがマネージャーとなって部下をコーチングし、部下の力を引き出す役割が担えること。よりパワフルな組織にしていけるはずです。
伊藤:現状からすると、時間さえ経過すれば目標達成できるのは間違いない。あとはどう前倒しできるかです。
次に起こるのは、恐らく継続率の問題。契約期間にしばりがないので、トライアル期間後も全ての美容室で継続利用してもらうための問題解決ですね。
社員も増やしながら、他社に追いつかれずにいかに走り切るか。問題は絶えず出てきて当然。一つずつ解決していくのみです。
伊藤:他事業からの学びとして、“シンプルなビジネス構造”を意識してこの事業を立ち上げました。
このビジネスの目標は契約数3,000件。今は新規契約数が伸びていくことに面白みを感じているし、メンバーの成長を見るのも楽しい。仕事に手応えがあって、一緒に働く仲間にその喜びを還元できる状態は何より健全でいいですよね。
問題解決そのものが好きなので、日常生活の中でも気づけば「もっとこうしたらいいんじゃないか」と思考しています。頭の中で構想を練っている次のサービスも早く形にしていきたい。未来に自分が何をしたいと思うかは、そのとき次第。目の前の問題解決を楽しんでいきます。