株式会社HERO MAKERS.
組織に「過去の延長線上にない成果」をもたらすのが、私の約束です。
貝塚:クライアントの関係会社が「すごい会議」を導入していて、一泊二日の合宿をオブザーブさせてもらったことがきっかけでした。
『これは面白い』と、見よう見まねで自己流の「すごい会議」を始めてみたものの、本質を理解していなければファシリテーターもいない。浸透するわけがないですよね。
貝塚:うちの主力商品である美容室向けドライヤーの人気に陰りが見え始め、商品開発の必要性を感じたタイミングでした。同時に、美容室へのディーラー事業を拡大したことで社員数が急激に増え、組織のスピード感や実行力が落ちている課題感もありました。
高森さんとは数年前に知り合い、「すごい会議」と関係なく定期的に食事していましたが、あの「すごい会議」のコーチだと知って、改めてコーチをお願いしました。
貝塚:当時は高額家電のドライヤーが市場に出回り、始めたタイミング。僕らもそのマーケットに挑戦して粗利を確保する戦略に方向転換したものの、実現には商品開発から製造、販路開拓、マーケティング、営業から広報まで、関わるグループ会社を一つにまとめる必要があった。
異なる企業文化の集団をまとめるには「すごい会議」しかない、と、各社から主要人材を集結させて実施しました。
貝塚:導入して2年でドライヤーの売り上げが150%以上に伸びました。解決策の一つは販売ルートの開拓。何千、何万という販路を確立しているものの、問屋を通す昔ながらの流通は利益率が低く、しがらみも強い。
さまざまなアイデアで問屋を通さずに直接卸すルートを開拓し、同時に、ECも構築できたことで利益率が大きく変わりました。しかも時はコロナ禍の直前、あのタイミングで可能性を広げられたことは、非常に意味がありましたね。
貝塚:まず、各々がアイデアや知恵を持っていてもそれを組織的に運用しようという考えがなかったので、一つの目標を共有して問題解決に取り組むこと自体が新鮮でした。
『こんなにも風土が変わるのか』という手応えは、セッションの初回から感じましたね。
例えば、組織の“ひどい真実”を挙げるパート。「精霊が言うには〜」というフレーズを使うことで、隠れていた組織の問題が浮き彫りになった。僕にとっては耳をふさぎたくなるような真実ばかり(笑)。
でも、それが爽快だったんです。出すだけ出して、あとはなんとかすればいい。ドラマチックに盛り上がり、バラバラだった企業文化が融合していく感覚。あのスタートはよかった。
高森(コーチ):“ひどい真実”を個人的に伝えてしまうと攻撃にも捉えられかねませんが、「すごい会議」では、あくまで“場”に対して平等に発言するだけ。「コーチに言われたから」「紙に書いたことを読んでいるだけです」と、形式的な理由を味方にできるので、客観性が生まれて心理的安全性が働き、真実を口にしやすくなります。
また、1年目のセッションでは、移動係数という専門的なKPIを設定して達成を目指しました。出荷される物量を理論的に表す値で、その目標値は専門家から見てもかなり難易度の高いものでしたが、それを見事に1年で達成。KPIの選択と設定は、目標達成に大きく影響します。
貝塚:会議が好きな人なんていませんよね。でも、明らかに彼らのモチベーションが上がる様子が見て取れました。
会議冒頭、「会議が終わったときに、何が手に入っていればあなたにとって最も価値がありますか」というコーチからの問いに思考し始める時点で、あり方が変わる。それを獲得しようと自主的に行動し始めます。
コーチのファシリテートとルールに従って進むだけで、急激に発言が活発になりました。
貝塚:美容業界はトレンドや市場の移り変わりが激しいので、テーマも時流に合わせて変える方が自然なんです。
ある瞬間に「もうこの問題は過去だな」と、思う瞬間が来て、そのときにフォーカスすべき問題にスイッチする、その繰り返しです。
高森(コーチ):僕がこの組織を外部から見て感じた問題は、『商品力が強すぎて、営業せずとも勝手に売れてしまう』ことでした。確立された販路があることで、ある意味、いい商品さえつくれば売れる。同時に、開発側は「営業は働いていない」と感じ、営業側も「内勤のチームは何をしてるかわからない」と感じる、分かり合えない社内の不協和も存在していました。
加えて、コスモのディーラーは他社と違うユニークな商品を提案することで存在感があったはずなのに、組織の拡大でその文化も薄れつつあった。営業組織の再構築を必須事項として初年度のセッションを実施しました。
結果、プロジェクトは成功。2年目以降は、「もっと下のレイヤーのメンバーを入れたい」という貝塚さんのリクエストを受け、若手や新人を対象としたセッションに転向しました。「すごい会議」で決めたことは社長決済で進めるという特殊ルールのもと、「自由にやれ!」と、若手の成果を後押しできた。
短距離や長距離、若手から幹部まで、組織全体を巻き込むセッションで、持続可能な成長をサポートしています。
貝塚:例えば、商品のシャンプー自体はどのディーラーから買っても同じなんです。では、どこで営業力を差別化するかというと、コンサルテーション力。
美容室の最大の商品は美容師であり、その店の人間関係です。「すごい会議」に参加したメンバーは、この会議のメソッドを自己流にカスタマイズして美容室の“人”と組織にまつわる問題解決を自主的に提案しています。
以前の指示待ち体質が改善し、僕がいなくても自分たちで考えて動いてくれるようになった。うれしい変化です。
貝塚:1年目のヘアドライヤーの開発も成功事例ですが、それ以上に印象深いのは、若手のプロジェクト。20代から30代前半の次世代リーダー候補を集め、若手のパフォーマンスアップを狙いました。
業界のトレンドをけん引するのはまさに彼らの世代。アイデアも感性も非常にユニークなのに、商品をつくるのは中年世代だなんて、おかしいですよね。
このプロジェクトでは開発から販売までを若手に任せ、実際の商業商品をつくらせました。途中さまざまな摩擦がありながらも、最終的には全社を巻き込んで実績を残してくれた。このメンバーから拠点長に昇格した子もいて、素晴らしい成果でした。
高森(コーチ):まず、自分たちの意見を社長に聞いてもらえたこと、ですね。伝えたい欲求はあっても、この規模では社長と社員との距離はどうしても遠くなってしまう。社長に直接意見を伝えられたことに勇気づけられたのが、一つ。
もう一つは、文句を言うよりも『自分たちが結果を出せばいい』と、彼らの思考が変わったことです。結果さえ出せばみんなが関心を持ってくれる。その原動力が結果につながりました。
貝塚:モノが売れるには、商品力以外にマーケティングの仕掛けも必要です。商品から仕掛けまでを自分たちで考えてヒット商品を生み出したという経験は、今後のキャリアにも必ず生かせる。マーケティングや営業への思考も変わったと思います。
貝塚:シンプルに、業績をあげたいからです。過去にM&Aをした会社と、昨年正式に組織を統合したので、今後はいかに共通目標を持って進めるか、ですね。
1年目と意図は同じ。異文化の集団を一つにまとめるには「すごい会議」しかない。
高森(コーチ):自分たちが“責任を持ってやり切る”、というコミットメントです。特に若手のセッションでは、それが顕著でした。会社の未来を担う若手が生き生きと会議に臨み、コミットしてプロジェクトをやり切った。そこだと思います。
貝塚:まさにコミットであり、期待を合意する重要性や心理的安全性、コーチの存在。それらがこんなにも人のモチベーションを変え、会社のエンジンに火をつけ、文化になっていくのか、と、改めて組織論を学ばせてもらいました。
若手との価値観のギャップ、組織的な距離の遠さ。コミュニケーションを成立させること自体が難しいなかで、「すごい会議」を通して意思の疎通が取れたことは、大きな価値でした。
貝塚:自分はあまりにも現場のファクトを知らなかった、ということです。組織では多くの真実が隠され、経営者に届く声は実に少ない。
この事実は経営の意思決定をする上で非常に有益で、現場の意見を吸い上げる場、風土の重要性を実感しています。
貝塚:会議の構成やメンバーを毎年変えていますし、これからも組織を拡大し続けるから、です。社内コーチを使って自走できれば理想的ですが、外から俯瞰で見てくれる人が必要なので、やはり高森さんですね。
高森さんは、人として好きなんです。野球選手時代に地獄を経験しつつもそこからはい上がり、今を素晴らしく生きている。魅力的ですよ。
貝塚:高森さんは、指摘してくれる貴重な存在。かつてはお客様がその役割でしたが、今のお客様は無言で去ってしまうので必然的に売り上げも落ちる。
指摘役であると同時に火付け役でもあり、『これくらいでいいか』と、楽な方に逃げたくなる僕に、「目標に向けて突っ走ろう!」と、アクセルを踏ませてくれます。
お客様をワクワクさせるのが僕らの仕事なので、僕ら自身がチャレンジし続けることが使命。可燃性の僕らに火をつけてくれるのが、コーチです。
貝塚:創業期やベンチャー企業などの若い会社がいいと思います。ただ、金額が高いことを考えると事業承継のタイミングがいいかな。
人もモノも資金もある、でもどこかくすぶっているような会社には、絶対におすすめ。マンネリを打破し、会社全体のマインドを変えるのが得意分野です。
貝塚:自分の会社を「見える化」する装置。自分がこんなにも盲目だったのか、と気づき、“見えていなかったもの”が、発見できます。
貝塚:“ルールの面白さ”に尽きますね。ルールに乗るだけで、こんなにも心理的安全性が担保され、本音の意見やアイデアが出るのか、と。
始めは慣れない作法に戸惑うものの、一日の終わりには『見えたな』と爽快感がある。人と組織の可能性を実感できる、痛快な会議ですよ。
貝塚:僕には今の日本に元気がないように見えるので、海外進出を活発にしていきます。特にアジア圏。今は途上国に勢いがあり、美容業界での日本の存在価値は低くなりつつある。美容大国の韓国はとりわけ強力で、うちのグループの韓国支社も大きく伸びています。
しかし、日本の品質が本質的に素晴らしいlことは間違いないので、韓国の強力なマーケティング力を生かしてアジア圏でも結果を出していきたい。次の構想として、韓国支社や香港支社のメンバーでも「すごい会議」をやりたいと思っています。
もう一つ、この会社を業界の平均給与No.1にして社員を豊かにする、とも決めているので、その達成から逆算して展開を考えています。まだまだやるべきことばかり、楽しみです。