「すごい会議」は、以前からご存じでしたか。

板崎：会社を設立したばかりの頃に「すごい会議」の本を購入したことがあります。とはいえ、すっかり存在を忘れていたので、恐らく、当時はピンとこなかったのでしょうね。今回、知人の経営者に高橋さんをご紹介いただき導入に至りました。

導入の“決め手”を教えてください。

板崎：高橋さんとのミーテイングで、「すごい会議」のエッセンスを体験させていただいたんです。1対1で90分間、私が描く10年後の理想や、それに向けた1年後の目標などを質問されました。

魅力に感じたのは、目標達成への課題を“疑問文”に置き換える手法。「どのようにすれば〜」と、疑問文に変換することで思考が前向きに切り替わる、新たな体験でした。

実際の「すごい会議」セッションは、いかがでしたか。

板崎：目標設定までのセッションをトライアルできると聞いて試したいと思ったものの、実は契約する気はありませんでした（笑）。目標と課題さえ見えれば、あとは自分たちで解決できると思っていましたから。

ところが、いざ目標を立てると、これは自分たちだけで達成するのは難しそうだぞ、と。目標達成の手法やコツも知らなければ、仕組みもない。導いてくれるコーチの必要性を実感し、導入に踏み切りました。

導入によって解決したかったこと、手に入れたかったものは何でしたか。

板崎：創業以来20〜30名の規模で経営してきましたが、今後は社員を増やし、拡大成長路線を目指そうと舵を切ったタイミングでした。

といっても、拡大への具体的な戦略はなく、多少の成長は見込めてもどこか場当たり的。もっと着実に戦略を描き、社員みんなで達成を目指す風土にしたい。まだ未知の「すごい会議」の手法に賭ける思いでした。

「すごい会議」で拡大成長の可能性が高まると感じたのは、どのタイミングでしたか。

板崎：セッションDAY1の終了時です。私一人が、あるいはごく一部のメンバーだけが、本気になっても達成は難しい。その程度の本気は、容易にしぼんでしまいます。

そこをコーチが並走してくれれば、ある意味逃げられません（笑）。大勢を巻き込み、達成への“本気”を持続させる仕組みが、この会議。『これ（すごい会議）を入れれば、ゴールへの道筋が見える』と思いました。

新たにつくりあげた目標は、板崎社長にとってどんな価値がありましたか。

板崎：5年間の事業計画があり、来期は今期比20%伸長の予定でした。“頑張ればできそうな”数字でありつつも、私たちにはチャレンジングな目標。それをムーンショット目標にすべし、というのが「すごい会議」の提案です。ムーンショット、いい言葉ですよね（笑）。

高い目標にするメリットは、今まで見逃していた課題をあぶり出せることだと思います。少々の成長であれば、小さな課題は無視しても問題ない。しかしムーンショットとなると、大小を問わず全ての課題をクリアしなければ届きません。むしろ、今解決しておけば、その後の成長がよりスムーズになると考えました。

髙橋：チャレンジングな目標の定義としては『ゴールの崖に、指が一本かかるかかからないか』が目安です。“できそうな目標”は、チャレンジングからは除外します（笑）。

高い目標への不安や抵抗はありませんでしたか。

板崎：もちろんありました。知人に伝えると、『達成できなかったときに、それまで頑張ってきた社員が離れてしまう』など、ネガティブな意見もありましたしね。

髙橋：ある種の親心で、意図せずとも現状に引き留めようとする声があるのは頷けます。模索しながらもスタートする、初動のタイミングで起こりがちです。

みなさんの不安な様子に、「今の空気感のままでは、確かにいい結果にはならないと思います」とお伝えしました。みなさん一人ひとりが『達成する』と決め、ストッパーを外さない限り、決して届かない目標だからです。それでこそチャレンジと言えるし、そのための目標。

この会話を機に、メンバーに漂う雰囲気が前向きに変化した印象がありました。

セッションDay1で、最も印象深かったことを教えてください。

板崎：「参加できてよかった」と中堅メンバーが言ってくれたことですね。うれしかったです。

セッションメンバーは入社3年目の若手から中堅まで、いわゆるマネジメントチームとは異なる面々です。“利他の精神で、この会社のために”と、動いてくれそうな期待の人材6名をそろえました。

この会議は会社の経営方針を決める、高い視座での意思決定の場。チャレンジングな場に参加できることに、喜びを感じてくれたのかもしれません。

髙橋：参加メンバーは、年次に関係なく“全社員からゴールデンメンバーを選んでください”とリクエストしています。時間をかけて厳選していただいた、期待のチームです。

現在はDay4まで終了し、問題解決のステップに入ったところですね。今時点での実感や、メンバーの方の反応はいかがですか。

板崎：ここからが始まりですが、少しずつ達成への課題が見え始めています。今ある課題をクリアするだけでは辿り着けない目標なので、今後も山ほど課題が出てくるでしょうね。楽しみです。

メンバーは非常に前向きにやる気を出してくれて、進んで動いてくれます。初めてミッションを背負う若手もいるので、以前とは大きな違いが生まれるはずです。

髙橋：社内SNSの会話を見ると、社員の方の発言が非常に活発で、最年少メンバーからも社長へのリクエストが続々と出ています。立場を超えてリクエストする難しさもある中で、“素直に言われたことをやってみる”というコーチャブルさ、積極的なみなさんの姿勢は素晴らしいですね。

「すごい会議」の導入で見えた“希望”があるとすると、何でしょうか。

板崎：メンバーが、自分の担当プロジェクトでもこの手法を試しているらしいんです。この前のマネジャー会議でも、社員教育にかかる工数を「どうすれば時間外でなく、勤務時間内に捻出できるか」と疑問文に置き換え、議論してみました。

この調子で問題解決の手法が社内に波及すれば、成長のスピードも上がります。私と同じく、彼らもこの手法に可能性を感じてくれているんじゃないかな。

導入して数カ月間、板崎社長が最もうれしかったことを教えてください。

板崎：メンバーがムーンショット目標に“本気で”コミットし、成果を生み出そうとしてくれていること。心から『会社を良くしていこう』と思ってくれていることが伝わり、そのことが、何よりもうれしいです。

『「すごい会議」って何ですか？』と聞かれたら、板崎社長は何とお伝えしますか。

板崎：「すごい会議」は“会議”ではなく、課題を見つける＆解決するためのソリューション。ムーンショットに向かって課題を洗い出し、その課題を一つずつ、本気で解決していく仕組みです。課題探しは、成長への宝探しみたいなものですね。

どのような会社、経営者の方に「すごい会議」はマッチすると思いますか。

板崎：成長を望んでいて、社長が素直な会社かな。私は、試してダメならやめればいいから、何でも『やってみよう』と思うタイプ。まず『やろう』と思えるか、ですかね。

板崎社長にとって、コーチはどのような存在でしょうか。

板崎：自分たちだけではできない「すごい会議」を、しっかりファシリテートし並走してくれる存在。第三者が入ることで、場がピリッと締まります。ゆくゆくは自社内にコーチ的な役割を育て、この手法を展開していきたいと思っています。

御社の今後のビジョンと、「すごい会議」の活用プランを教えてください。

板崎：私も56歳。社長という役割は、いずれ誰かに引き継ぎます。それまでに、多少のことでは揺らがない会社へと成長させていきたいですね。

今後は、社員数100名、300名という規模に成長させていくつもりなので、過去に経験したことのない課題が山ほど出てくるはず。中間管理職の育成や採用も課題です。「すごい会議」で積極的に課題を掘り起こし、社員と会社が成長し続ける状態を築いていきます。

今後、過酷になるであろう問題解決の中で、私たちが挫けそうになったときにこそ、コーチには手厚いサポートを期待します（笑）。

ありがとうございました。