すごい会議

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CASE STUDY すごい会議の実施例

老舗鉄鋼商社3代目社長の事業継承。“ひどい真実”に隠れた、新世代への金脈

五十鈴株式会社

設立
創業1947年(昭和22年)1月、設立1952年(昭和27年)1月
資本金
6億円
従業員数
828人(グループトータル)※2022年3月現在
事業内容
鉄鋼流通商社として薄鋼板を中心に取り扱う老舗の専門商社。自動車・家電・OA機器などに活用される素材を供給する商社であると同時に、メーカー機能(鋼板加工)を自社で保有し、独自の技術力・ノウハウ・サービスを顧客に提供している
担当コーチ
鈴木 智大

創業70年を越え、事業承継。組織課題と向き合う

今年導入いただき、5回のセッションが終了しています。導入時の目的や期待から教えてください。

鈴木(勝):弊社は1947年の創業から70年を越える歴史があるなかで、昨年、私が社長に就任しました。先代である私の父と当時の副社長を組織のトップに、30年をかけて築き上げた盤石なマネジメント体制には、連綿と息づく素晴らしい文化もあれば、古く凝り固まった因習もある。

いずれにしても、社長就任を機に会社を大きく変化させようというタイミングで、偶然にも「すごい会議」とのご縁をいただきました。

過去の組織体制やカルチャーによって、どのような問題が起こっていましたか。

鈴木(勝):問題とまでは言いませんが、まず一つには、弊社のグループ各社を横串の視点で考えられる人材が非常に少なかったことですね。

経営方針として、個々の経営意識を高めるべく積極的に分社化を進めてきた過去があり、その結果、経営層だけでなく社員個々人の“成果を上げる意識”を高く保てている点や当事者意識の高い社風を生み出せている点が、弊社の強みです。

一方で、グループ全体としての未来図を描き、各社が連携してシナジーを生み出す視点が弱いことは事実でした。

二点目は、人材の流出です。成果に一直線になるカルチャーが濃いことで、そこにフィットできない人も当然出てくる。出ていく人が多ければ、会社の継続は危うくなる。人が減っていく危機感のようなものを感じていました。

社長就任を機に、新たな組織のビジョンをどのように描かれましたか。

鈴木(勝):みんながイキイキと働く会社、です。2030年に向けての10年間で、社員以外の関係者も含め、仕事のやりがいや楽しさをつくっていくことをミッションステートメントに掲げています。

そこへの課題は、“働きがい”よりも“働きやすさ”。“働きがい”の面では、人材育成や研修なども充実させており、社員が目的感を持って働けるような仕組みはすでにあります。

ただ、その研修を土日に実施したり、残業や休日勤務が多かったりと、今の時代にそぐわない古い労働環境が最大の課題でした。どうすれば現在の成果や教育水準を保ちながら“働きやすい”環境を整えられるか。生産性を上げていけるか。

凝り固まった思考を改め、今以上のパフォーマンスを上げるヒントを探していました。

“すごい”のは、コーチの熱さ、成果の上がる会議メソッド

鈴木コーチとの最初のセールスは、10分しか時間を取れなかったと伺いました。短い時間で、どういった点に興味を持たれましたか。

鈴木(勝):まず、コーチの熱量です。営業資料らしきものは何もなく「会議のやり方を変えます。すごい結果を出します」というプレゼンテーションが印象的でした。

ネーミングにもインパクトがあるので、何が“すごい”のか、聞いてみたくなりますよね。別の日に改めて詳細を伺い、成果が出そうだ、と感じたことが導入の決め手です。

どのような点に、“成果が出そうだ”と感じられたのでしょうか。

鈴木(勝):会議のプロセスを大きく変えられるメソッドがあることです。弊社では会議の時間が長く、頻度も多い。その割に会議の成果を感じられないこともあり、会議のプロセスや生産性には問題意識がありました。

例えば、どの社員も自分の考えはしっかり持っているのに、自分から会議で発言することはしないんです。いろいろな考えをぶつけ合った上で意思決定するのではなく、トップダウンで意思決定をしてきた過去の影響から、自分の意見を発言できない悪循環に陥っていたんですね。

この文化を変えるには、“書いて発表させればいい”という「すごい会議」のやり方に納得させられました。彼らは書かせればいくらでも書けるし、走り出せば非常に早い。

このメソッドでこの会社のいいところをもっと出せる、そんな予感がしました。

セッションメンバーは、次世代幹部候補

事業承継後のセッション開始。セッションメンバーはどのような基準で構成しましたか。

鈴木(勝):実は、かなり迷いました。役職上の執行役員で構成するか、私と同世代か少し若い世代から次世代幹部候補をセレクトするか。最終的には、まずは自分のやりたいようにやってみよう、と後者を選びました。

鈴木(コーチ):結果的に人の配置は非常にうまくいったと感じます。社長が『一緒にやりたい』と感じ、かつ会社への思いもある方々なので、場のエネルギーも上がるし実行力も加速する。次代を担う幹部も育つ。

誰とやるか、はプロジェクトの成功に大きく影響します。

「すごい会議」には独特の言葉づかいやカルチャーがありますが、メンバーのみなさんの反応はいかがでしたか。

鈴木(勝):非常に素直な社員が多いので、むしろ嬉々として参加しているように見えます。社風として成果を上げることに夢中になれるポテンシャルがある上に、会社の変革期に貢献したいと思ってくれているメンバーなので、前向きで非常に心強いですね。

問題解決思考で積極的に動く社風なので、「すごい会議」の方向性にマッチしていると思いますよ。

現場に広がる会議メソッド。“フロントヘビー”で倍速化

現在、セッションはDay5まで終了しています。どのような変化を実感されますか。

鈴木(勝):「すごい会議」の手法が社内ではやっています(笑)。私の他に6名のセッションメンバーがいて、その6名が自分たちの部署でもメソッドを活用しているようです。

いいと思うからこそ自分たちでも試していると思うし、「すごい会議」は私の直轄プロジェクトなので他の社員も気になるんでしょうね。

トップダウンでなく、“自分の意見を共有していい”と合意された場があること自体が彼らには新鮮に映っていると思うので、これまで以上のモチベーションにつながるんじゃないかな。

“働きやすさ”や生産性の課題が挙がっていました。これまでにどのような変化が生まれていますか。

鈴木(勝):工場などの作業効率はすでに細かく追っている一方で、営業サイドや事務方の業務は可視化が難しく、テコ入れできていない点が課題でした。

しかし労働環境改善に向けて実態を見直し、生産性向上のプロジェクトを進めた結果、目標への歩みが倍速化しています。もちろん会議の生産性も上がっています。

それらの変化を生んだのは、“フロントヘビー”の手法です。例えば、以前は現場の様子を伺いながら“できそうな期日”の1カ月で合意していたところを、1週間で切る。『いつまでにやるか』の期日を、過去の常識を超えたスピード感に変え、最初からハードに突き抜けて心地よく追われることで、全体の進行スピードも生産性も格段に上がっています。

まず『やると決めて、やる』。その方法をこの会議で教えてもらいました。

鈴木(コーチ):社長の“基準の高さ”が素晴らしいんです。現場では3カ月期日くらいの感覚でも、「1週間でできるでしょ」とストレートに言えてしまう。するとみなさんも『そうかもしれない』と思い始め、全体の基準が上がっていく。

高い目標を立てる意図は、“その目標をつくらなければ生まれなかった実現可能性を最大化すること”にあります。狙わない限り、狙った以上のものは生まれないので、フロントヘビーで進めることをおすすめしています。

“ひどい真実”から成長への金脈をあぶり出す

他にも、「すごい会議」の考え方や手法で気に入っている点があれば教えてください。

鈴木(勝):組織の“ひどい真実”を口にするメリットは、全員が初日から感じていたと思います。

組織にとっての不都合な真実は、“言いにくいこと”の中にこそ隠れているもの。先代のトップ2の存在があまりにも大きく、その時代が長かったからこそ、“言いにくいこと”をテーブルに挙げて本音を口にするステップは不可欠でした。

『精霊が言うには〜』と、ユーモアで言いにくいことを言いやすくする工夫も面白いし、“質問・提案・リクエスト”のフォーマットも気に入っています。

鈴木(コーチ):安心してみなさんが“ひどい真実”をテーブルに挙げられるのは、「すごい会議」が『真実を口に出していい』と合意された場であり、僕らコーチが並走することで心理的安全性を担保しているからです。最初は言いにくくても、一度出せば次から次へと出始めます。

“ひどい真実”を明らかにすることで、どのような価値が生まれていますか。

鈴木(勝):私とメンバーの年齢が近いので、以前から酒を飲みながら話を聞く機会はありましたが、組織としてオープンに口にできる心理的安全性が生まれたことが大きな価値です。

彼らから、上層部の役員や各社社長に『こんなことを伝えてほしい』といった私へのリクエストも来るようになり、積極的な下からの突き上げ文化が生まれつつありますね。

鈴木(コーチ):今後さらに、みなさんがステキに変化するには、社長を頼らず、ご自身で上層部や組織全体を巻き込む動きをつくっていけると素晴らしいですね。そのサポートもさせていただきます。

組織の“ひどい真実”をみなさんが口に出したことで、どのような問題解決が進みましたか。

鈴木(勝):真っ先に浮かぶのは、先ほどお伝えした人材の話です。人が辞めていくというファクトはありながらも表面上は取りつくろえている段階でしたが、それは問題が表面化していなかっただけ。確実に、組織をむしばむ病巣でした。

その問題を改めてテーブルに上げ、経営課題として真剣に取り組もうと合意できたことがよかったですね。

シナジーを創出する、統括機能に

グループ全体を底上げする機能として、どのように活用いただけそうですか。

鈴木(勝):「すごい会議」で全社にかかわる問題を扱い、方針を決めて各社の社長に下ろす構図にしました。各社長は「すごい会議」が次に何を打ち出してくるか、戦々恐々としているし、ついていけなければ埋没するという危機感も抱いているはずです。

過去にもグループ全体を横断するプロジェクトはありましたが、それと違うのは、この会議の推進力の強さ。容赦無く期限を切り、成果をあいまいにさせない感じがたまらなくいいんです(笑)。

グループ内で競うのでなく、「すごい会議」で統括しながら問題解決を進めることで、シナジーを強化していきます。

5回のセッションを通して、印象に残っている場面を教えてください。

鈴木(勝):やはり、面白かったのは初回のセッションです。メンバーが、今まで言いたくて言えなかったことや問題を全部吐き出してくれた。私は社長1年目として会社を変えていきたかったので、“問題”こそウエルカム。

何より取り扱う問題の“質”を上げられることが重要で、組織の根幹に関わる問題は何なのか、と、問題そのものを深掘りしていけるプロセスが魅力でした。

コーチのつくり出す空間が、前進へのパワーになる

会議の“推進力”には、コーチの存在が影響しています。御社にとってのコーチの機能とは何でしょうか。

鈴木(勝):引き出してくれること、です。私たちだけでは思考も場も停滞しがちなところを、あらゆる角度の質問で巧みに引き出してくれる。全員の意見を円滑に吸い上げるのが上手で、真似したいけれど、第三者の案内役だからこそかな、とも思います。

鈴木さんが元気だから、私たちも元気をもらえるんですよね。前向きで明るく、いい雰囲気をつくり出してくれるので、自然と言いにくいことも言いやすくなります。

鈴木(コーチ):目標達成への基準を可能な限り引き上げるような質問を心がけていますし、社長が欲している情報を引き出そうと意図するケースもあります。

雰囲気をよく進めることはもちろん、メンバーの意見をいかに引き出し、社長と同じ基準で社長以外が経営に参画する状態をつくれるか、そこが僕の一番の貢献ポイントだと思っています。

「すごい会議」への疑問があれば伺います。

鈴木(勝):唯一、疑問に思っていたのは、セッションでは1分や3分で考えるように言われますが、核心とも思える問題について、もっとじっくり考えなくていいのか、ということです。ただ最近は、時間をかけても答えはそこまで変わらない気もしています。

鈴木(コーチ):これはファーストチェス理論の考え方なんです。チェスの名人が5秒で考えた結果と30分で考えた結果は86%の確率で同じだという結果が出ていて、僕らが短い時間で区切るのも同じ理屈です。直感的につかんでいただいて、ありがとうございます。

『生産性爆上がりメソッド』で、本気の“全員参画経営”へ

「すごい会議」をご存じない経営者の方に、「すごい会議ってなに?」と聞かれたら、どう回答されますか。

鈴木(勝):生産性が爆上がりする会議メソッド、ですね。実際にスピード感や生産性が上がっていて、プロジェクトも進んでいます。

「すごい会議」に向いていない企業はないと思うし、実は『何も変える必要はない。困ってない』と思っている経営者ほど成果への伸びしろも大きいんじゃないかな。

“ひどい真実”のない組織なんて存在しないと思うので、それを出し切ってみる価値はあると思いますよ。

ビジョンの実現に向け、「すごい会議」をどう生かしていただけそうでしょうか。

鈴木(勝):“みんながイキイキと働く”という視点では、この会議を起点にすでにそうなりつつあります。以前から“全員参画経営”を掲げてはいたものの、本音でコミュニケーションできる場ができつつある今こそ、本気の“参画度”の高まりを感じられている。

私自身、会社のためにやった方がいいと思うことを選択できているし、問題として扱えているんです。

簡単ではなくとも、前向きにやりがいを持って動けるポジティブな状態をつくれているのはこの会議のおかげなので、このムードを組織全体に広げていきたいですね。

ありがとうございました。

鈴木 智大 すずき ともひろ

株式会社いきなりすごい会議

宮城県仙台市出身。
大学在学中にすごい会議に出会う。

組織として本当に解決したい問題をテーブルに上げ、チームとして解決する場を提供します。

目標をつくらなければ起きなかったことの実現可能性を最大化させます。

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