すごい会議

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CASE STUDY すごい会議の実施例

患者数13年連続増、売り上げ133%増。「何が可能か?」の問いで生み出す組織成長

医療法人彰美会 西新町二丁目クリニック

設立
2010年5月
資本金
-
従業員数
約30名
事業内容
徳島県にクリニックを2院展開し、内科・循環器科・皮膚科・美容皮膚科を併設。幅広い年齢、地域の患者を抱える。内科・循環器科では健康促進のための食事相談や料理教室を開催し、運動セミナーも実施するなど、患者の幸せを末長くサポートする存在として地域に根差した医療を提供している
担当コーチ
森 拡之

“組織づくり”を始めたい。でも方法がわからない

2019年の導入から丸4年が経過しました。導入の経緯と当時の課題について教えてください。

斎藤:導入時は開業から10年目を迎え、スタッフは今より10名ほど少ない20名程度でした。ありがたいことに患者様もスタッフも年々増え続け、スタッフみんなが頑張ってくれている状態。特に不満があったわけではありません。

ただ、僕がスタッフと顔を合わせられる時間は減りつつあり、連絡や指示が行き渡りにくくなったような、自分だけでは手が回り切らない感覚を感じ始めていました。

同時に、世界的に有名なコーチのプログラムに参加したことで『“人”をもっと大切にしたい』と、僕自身の価値観が大きく変化したタイミングでもあります。

『組織づくりに取り組み、“僕のクリニック”から“みんなのクリニック”に変えていきたい。もっとみんなの力を借りたい』。

そんな思いでリーダーチームを編成し、自前で会議を始めてはみたものの、どうすればいいのかがいまいちわからない。

ちょうどその頃、「導入したら3年で業績が2倍に伸びたけど、興味ある?」と学生時代テニス部のダブルスパートナーであり、尊敬する大先輩の湘南美容クリニック代表 相川佳之先生からメッセージをいただき、「すごい会議」をご紹介いただきました。

 

異文化へと踏み出す大きな懸念

導入にあたり、どのような懸念点がありましたか。

斎藤:医療業界には会議をする文化がなく、あるとしても朝の申し送り程度です。加えて「すごい会議」の参加メンバーは医療現場のリーダーであり、僕自身も診療を外れる日は一日もない。

診療時間は患者様の予約で埋まっているなか、いかに会議の時間を捻出して会議で決めたことをやり切っていくか。果たして文化にマッチさせられるか、さまざまな懸念がありました。

懸念がありながらも「やってみたい」と、思われた理由をお聞かせください。

斎藤:この会議をすれば患者さんの数が増える、自走式の組織をつくることでより大きな貢献ができるようになると信じたからです。なぜなら僕の周囲には、相川先生を筆頭に「すごい会議」で実績を上げた人が何人も実在します。それを素直に信じて試したいと思いました。

診療時間を削ってでも、続ける決意

まず、「会議をする時間がない」という問題と、どう向き合いましたか。

斎藤:始めは水曜午後の休診時間帯を使って会議をスタートさせましたが、案の定、反対意見が多く、診療時間を半日つぶして実施することに決めました。

患者様にご迷惑をお掛けする上に、売り上げが減る心配もありましたが、スタッフの意見を大切にしながら成長したかった。会議に参加しないメンバーもその時間を利用して技術の練習ができるなど、新たなメリットも生まれます。

どうすれば現場の負荷を抑えて会議を続けられるかと考えた結果でした。

診療時間を削っても「会議を続けたい」と思ったきっかけとなった、ご自身の体験を教えてください。

斎藤:初回のセッションで10時間かけて目標を設定したときに、『これを続ければ確かにすごいことが起きそうだ』と実感したんです。

例えば、僕らだけで会議をしていたときは、スタッフは困った表情で顔を見合わせて発言できず、それを見ている僕もどうしたらいいのかわからなかった。

けれど、この会議で“自分の意見を付箋に書いて発表する”とこんなにも意見が出るのか、と驚きましたし、思考のトレーニングとしてスタッフの“考える力”が伸びる予感がしました。

僕は患者様が増えたことで経営もうまくいっている気でいたけれど、スタッフから見ると実は問題だらけだと気づけたのは、この会議のおかげです。あのまま進んでいたら、後々大変なことになっていたと思います。

スタッフからの大反発。3つのテーマへの転換

慣れない会議、異色の文化。懸念が的中し、セッションの継続は難航したと伺いました。

斎藤:経営者として、以前から僕自身のなかでの売り上げ目標は設定していましたが、良くも悪くもそれをスタッフには共有していませんでした。

そこにある日突然、売り上げ目標をゴールにした会議が始まった。医療を生業に働き、会議をする文化もなければ“組織目標を立てて達成する”経験もないなかに、いきなりの「すごい会議」。 僕の説明が足りず、売り上げ重視に転換するかのように感じさせてしまったとしても無理はありません。

その上、「すごい会議」の独特な言葉づかいやカルチャーへの違和感も強く、僕が会議を『やりたい』と思う一方で、彼女たちから伝わってくるのは痛いほどの抵抗感とストレスでした。難航して当然ですね(笑)。

スタッフの抵抗感を理解しつつも、院長は『続けたい』。どのように方針転換しましたか。

斎藤:3回目のセッションが終わった時点で、森さんと久保田さんに相談しました。『会議は続けたいし、今いるメンバーも大切にしたい。人を犠牲にはしたくない。』

そこで会話をするうちに、非常にシンプルなことに気づいたんです。売り上げを目標にせずとも、患者様に満足いただきスタッフも満足して働いてくれたなら、自ずと業績は伸びるのでは、と。メンバーも『クリニックをよくしたい』と思ってくれているのだから、彼女たちが喜んで取り組めるテーマにすれば、成果はきっと出る。

売り上げを目標に置くことはやめ、患者様の満足度向上(NPS®︎)、スタッフの満足度向上(eNPS®︎)、組織の運営改善という3本柱で進めると決めました。

売り上げ目標は置かない、という選択

会議の構成を刷新する上で、コーチが意図したことを教えてください。

森:何より重視したのは、彼女たちが発言しやすい環境をいかにつくるか、です。クリニックへの思いはあるのに「すごい会議」の型にはめることで硬くなってしまうなら、型にはこだわらず、ナチュラルな問題解決会議をすればいい。

もちろん「すごい会議」の本質である問題解決思考を軸足に、『何が可能なのか?』の会話をする点は変わりません。ただ、発言のフォーマットなどの“型”にはこだわりません。通常は数値目標に向けてギャップを埋めるように問題解決を進めるところを、このチームでは数値目標は掲げず、売り上げの数字を握るのは僕と斎藤先生の間でのみ、としました。

セッションでは、患者様目線、スタッフ目線で目の前の問題をひたすら解決し続け、あくまで結果として数字を手に入れる構造です。

『人の感情を尊重しながら成果を上げたい』という斎藤先生の思いとメンバーの特性を踏まえ、発言量を増やす目的でスタートしました。

テーマを絞ったことで、何がうまくいきましたか。

斎藤:何よりスタッフがやりたいと思うテーマに取り組めたことがよかったですね。以前はお通夜のように暗かったスタッフの表情が、ガラリと変わりました(笑)。

森:「売り上げを達成するための課題はなんですか」と尋ねても意見は出ないけれど、「患者様の満足度を上げるための課題はなんですか」と尋ねると、途端に発言量が増える、その違いだと思います。どちらの疑問文を解いても成果は上がるので、雰囲気よく問題解決が進む方を選びました。

患者数&売り上げアップ。 「何が可能か?」の本質だけを追う

導入から丸4年。どのような成果が出ていますか。

斎藤:おかげさまで開業から13年連続で患者数が伸び続けています。売り上げは、コロナの影響で診療が十分に提供できなかった一昨年のみ前年比マイナスでしたが、それ以外は前年比増を続け、昨年は過去最高売り上げを達成しました。全員でここまでやり切れたことが最大の価値だと思います。

人材や組織づくりの面での成長はいかがですか。

斎藤:スタッフが圧倒的に変わりました。会議では、森さんが質問するまでもなく全員が次々と発言し、付箋に書く必要がないほどに意見が出ます。安心できる空間を森さんがつくり出してくれるからこそ、言いたいことを自由に発言できる。

スタッフの“考える力”も強化され、自主的に動いてくれるようになったことで僕が細かいことを言う必要もなくなり、初期に目指した“組織づくり”は十分に達成できました。

“考える力”や“自主性”は、会議の何が源となって生まれたのでしょうか。

森:“何が可能なのか”だけを会話することに尽きると思います。「何ができますか」「何が可能ですか」と、問いかけることで自然と思考が進み、行動が生まれる。問題解決志向が定着しました。

 斎藤:「すごい会議」の仕組みに沿って、役割を分担してPDCAを回しているので、その原点を崩していないことも効いているんじゃないかな。

全くの型通りではなくとも、問題解決に必要なエッセンスさえ押さえれば問題解決への“思考”は根付く、と体験できましたね。

クライアントの思いと理想を尊重する

森コーチの魅力をお聞かせください。

斎藤:ここまでうまくいっているのは、森さんの柔軟性のおかげです。

高い目標を立て、型を使って問題解決のスピードを上げる。必要ならばメンバーも替えながら成果を上げる、という「すごい会議」の意図やパワフルな効果はもちろん理解しています。

ただ僕の場合は、雰囲気よく仕事をすることに開業以来こだわり抜いてきたので、そこを大切にしながら業績を上げる方法を見つけたかった。

森さんとはさまざまな会話をした上で、僕の思いや人間性、スタッフの性格などを深く理解して尊重してもらえたことがよかったですね。

5年目となる現在もリピートし続ける理由を教えてください。

斎藤: NPS®︎やeNPS®︎のアンケートを定期的に取って問題と向き合っていますし、いまだに会議のたびに新たな問題が出てくるので、僕らにとってなくてはならない場です。

スタッフが“対院長”ではなく“対問題”として向き合い、安心して発言ができるのも森さんの存在があってこそ。様子を見て絶妙なタイミングで振りをしてくれる点も真似できません。

僕にとっては森さんとの何気ない会話の全てがコーチングで、思考が整理され、新たな問題を認識させてくれる貴重な時間。いてもらわないと困ります。

改めて、この会議で斎藤先生が手に入れた、うれしい成果を教えてください。

斎藤:雰囲気よく会議ができて、確かな成果が出せていることです。でもひょっとしたら、森さんが僕らを尊重して支え続けてくれていることが一番うれしいかもしれませんね。

最適化から生まれる「すごい会議」の新たな可能性

「すごい会議」の型をアレンジすることで生まれる可能性を、どう感じていらっしゃいますか。

森:「すごい会議」の活用の幅が広がると思います。業界や経営者の考え方、組織規模などによっては、こういったアレンジがマッチする場合もあるはず。

ただ、今は20〜30名の規模だからこそ“型”を徹底しないコミュニケーションでも一定スピードで進めていますが、100名を超える組織で効果的かというと、恐らく違う。

いずれにしても、本質さえ逃さなければ、方法は最適化して成果を出せると証明できたケースでした。

お知り合いの方に「すごい会議ってなに?」と聞かれたら、どう回答されますか。

斎藤:実際に知人に伝えているのは、「目標を設定して役割分担し、責任を持ってやり遂げる結果、いい成果が出る会議」です。

コンサルティングとの違いは、自分たちで考えるきっかけをくれることだと思っていて、指示されてやるのでなく、自分たちで出した答えだから頑張れることが価値ですね。

僕らは「すごい会議」をアレンジして実践していますが、本質を押さえ、最終的に求める成果が出せることが大切なのかな、と思います。

人に寄り添い、地域と共に歩むクリニックグループへ

今後のビジョンとコーチへの期待を教えてください。

斎藤:より多くの患者様に貢献したいという思いで、2030年までに年間10万人に来院いただけるクリニックグループを必ずつくる、と決めています。

それにはあと6年半で分院を2院はつくらないと間に合わないし、違う分野のクリニックもやってみたい。昨年新設した分院にも伸びしろはあり、この院でも次世代リーダーを育てる段階に入っています。下の世代を巻き込むべく、リーダー陣には積極的な学びの場を設け、採用教育の課題に取り組んでいく予定です。

この目標を目指す上で、僕の理解者として心から信頼しているのが森さん。末長くお付き合いしていきたいですし、今後も一緒に成長させてもらいたいですね。

ありがとうございました。

(取材日:2023年7月4日、場所:西新町二丁目クリニック、ライター:渡辺恵)

森 拡之 もり ひろゆき

株式会社ネクストステージ / デルフィーコンサルティング グループ

一見不可能だと思えることにチャレンジし続ける経営チームが創られたとしたら、何を実現できるだろうか?私の仕事は、最高の経営チームづくりをし、今まで起こらなかった成果を作り出すことです。

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