株式会社アンカーマン
どのようにすれば今までの延長線上にない未来を創れるだろうか?
幡野:15年ほど前に勤めていた会社で「すごい会議」を導入していて、セッションメンバーでした。当時は、数字を詰める営業会議ばかりだったので、“承認”してモチベーションを上げる「すごい会議」のスタイルに驚き、しかもかなりの成果が出たことで、『やってよかった』という思いが強く残っていたんです。
幡野:会社の数字を底上げする事業をつくりたくて、今期から新事業に取り組み始めたものの、どうにもうまく進まない。
その要因の一つが、ベテラン社員ほど既存の仲介業で十分な数字がつくれてしまうため、新事業に軸足を置きたがらないことにありました。新人や若手に対してどれだけ積極的に教育をしても、それだけでは新事業へのエンジンはかからない。思考を柔軟に、組織が一丸となって取り組む意識が必要でした。
幡野:まず、社員が自信を持ち始めましたね。特に若手メンバーです。以前は、なぜ数字が上がらないのか、わからないながらも突っ走ろうとする文化がありましたが、「すごい会議」で自ら行動する癖がついた。
自分の考えた施策がうまくいく喜びを味わい、同時に数字も上がる。着実に成功体験を積んでくれています。
幡野:社歴や年齢に関係なく全員の発言が平等であり、言いたいことを言い合える環境をつくれたことが源にあると思います。
コーチの存在で心理的安全性が担保される、ポストイットに書いて全員が必ず発表する、組織の“ひどい真実”を口にできる、といった「すごい会議」ルールのおかげで、オープンに意見が飛び交うようになった。
ベテラン社員が入社1年目の社員のアイデアを見て、『その意見もあるな』と、思考が柔軟に変化し始めたことで、若手の活躍機会も広がっています。
また、提案から実行完了までを「すごい会議」を通して管理するので、全員に進捗をみられていることも実行力を強化する一因。実行するほどに改善のポイントが明らかになり、新事業の推進力も上がりました。
幡野:四半期で、粗利が昨対比2倍に伸びました。短期間でここまで変わるとは驚異的。以前から数字を意識する組織ではありましたが、自分がどう役割を果たせば達成できるか、コミットメントが明確になったことで道筋がクリアになった。目標が現実味を帯び、熱量が上がったのだと思います。
幡野:僕が欠席した進捗会議の議事録を見て、驚きました。会話量も多く、いい提案やアイデアがいくつも出ている。しかも、ちゃんと主張し合った上で「これをやろうぜ」と、合意して会議が終了していて、自信を持って進む様子に感動しました。
社員があっての会社であり、成果。チャレンジの厳しさを一緒に楽しめていることが何よりうれしいですね。
和田(コーチ):Day1以降、“主張する”という文脈が非常に強くなりました。この会議は心理的安全性が担保された場であり、その主張を受け止める幡野さんの度量もある。若手が上に迎合せず主張できている様子に、パワフルな前進感を感じます。
さらに特筆すべきは、幡野さんに次ぐNo.2の方の変化です。「うまくいっていることは何か」という僕の問いへの回答が、最近は部下の成長に関することばかり。部下の成長を支援し、その成長を喜ぶという構図が印象的です。
幡野:彼は僕以上に業界歴が長いのですが、僕らの時代の教育方針が若手にマッチせず、指導がかみ合わないことに頭を悩ませていました。そんなときにこの会議をスタートし、若手の本音を知ることができた。
若手が何に困り、どんな壁にぶつかっていたのかを知ったことで、彼が柔軟に指導方法を変えた印象があります。その成果が出ているのは、僕もうれしい。
若手のあの本音は、コーチの存在と会議の手順があってこそ出るもの。問題を“見える化”できることが、この会議の特徴じゃないかな。
幡野:目標に向かうベクトルが太くなる実感があるところです。例えば、取り組んでいる新事業を成功させる、と“全員で合意”して目標を立てるので、ベクトルの向きがそろう。認識にズレがなく、言語が統一され、実行のフローも共通していることで、ベクトルを太くしていけます。
また、チャレンジし続けた結果、「こうすれば目標に近づけるのか」と、達成へのイメージが具体的になることも大きいですね。僕がいなくても自分たちで進んでくれます。
和田(コーチ):個人プレーに比重がおかれがちな業界ですが、達成への役割を明確に決めることで主担当が旗振り役となって社内を巻き込み、社内のコミュニケーションを活性化できた。チーム感が生まれ、協力体制が強化されています。
幡野:新事業の主担当者を途中で変更したことです。彼は創業メンバーでありわが社のトップセールス実績者でしたが、数カ月間経過しても思うような成果が出なかった。
適性も含め、彼のリソースを他に充てるべきだと感じても、対人のことなので担当替えには慎重になる。しかし、その状態を続ければ“達成できない空気感”がまん延し、チームの士気も落ち兼ねない。
目標を掲げた以上は達成にコミットする意思決定をすべきだ、と、和田さんに相談して担当変更を決断しました。結果、本人もプラスに捉えてくれて、今ではチームの成果も上がっています。僕にとっては非常にインパクトのある意思決定でした。
和田(コーチ):経営者として組織の数字にコミットしながらも、ヒューマンケアの部分をおろそかにしないバランス感覚が、幡野さんの素晴らしさです。
“選択する”トップの姿を見せられたことは、チームとして大きな意味がありました。
幡野:即答で100%です。確実に来期も「すごい会議」は継続しますし、さらによくなるイメージしかありません。
来期の課題は、いつのタイミングで新事業を数字に転換していけるか。流れができれば一気に上がる。アクションと改善を繰り返して突破します。
幡野:悩みを相談できるコーチ兼アドバイザーのような存在です。和田さんは言葉がはっきりしていて気持ちがいいし、僕にない観点を持っている。社外からの目線でアドバイスをもらえることも重要です。
もう一つ、うちのビジネスや社員のことを実によく理解してくれている点ですね。一般的な人材研修やコンサルタントは、シンプルに見えて複雑なこの業態をここまで理解しようとはしてくれませんし、社員とのコミュニケーションもここまで密ではない。
和田さんが社員の人となりを含めてこの会社を熟知してくれているからこそ、できる相談がある。僕と社員の潤滑剤的な存在でもあります。
幡野:共通の目標ができて認識がそろい、達成に向かう太いベクトルができる。行動と考え方が変わり、経営者が口を出すまでもなく社員に新たな行動が生まれるので、会社がいい方向に動く、かな。
とにかくやってみたらいいと思いますよ。
目標を明確に描けている会社も、逆にめちゃくちゃ悩んでいる会社も、どちらもハマるはず。和田さんのノリのよさもおすすめです(笑)。
幡野:上場を目指しているので、今はそのための数字作りの真っ最中。達成できる、できない以上に、“達成するための行動”を身につけさせてもらっているのがこの会議です。来期は今期以上に「すごい数字」を出す予定なので、引き続きのサポートを期待します。
今後の鍵は、拠点や社員を増やして組織のマネジメント体制が変わったときに、「すごい会議」のハイパフォーマンスの思考をどう浸透させていけるか。経営チームとは別に、事業部やプロジェクト別に「すごい会議」を並走させていくことも考えています。