株式会社HERO MAKERS.
組織に「過去の延長線上にない成果」をもたらすのが、私の約束です。
嵜本:2011年の創業以来、驚くほど順調に売上高は伸びていました。しかし、綿密な経営戦略があったわけではなく、マーケットの好況や強い競合の不在など、外部の恩恵に後押しされて成長できていたというのが正直なところ。
その上で、2015年には上場を目標に本社を東京に移転し、本格的に人材がそろい始めた段階で、初めて僕自身が中長期的な経営戦略について学び始めたんです。
「すごい会議」のメソッドを聞き、『計画的な成長を手に入れるために試す価値はある、体験したい』と、感じたのが第一印象でした。
嵜本:例えば、目標を立てる必要性、目標を高く設定することの効果、KGIやKPIの設定、言語の扱い方、です。
それまでは営業部署しかないような組織だったので、上場を機に管理部門が整えば企業然とした経営ができると考え上場を目指しました。加えて、従業員に多くのものが還元できるとわかり、チャレンジを決めたんです。
とはいえ、組織を整えようにも方法がさっぱりわからない。専門家に力を借りるべく、高森さんの人柄と一を言えば十が返ってくるようなパフォーマンスの高さを信頼しました。
嵜本:まずは、経営チームが「すごい会議」のメソッドを理解し、自社の成長に生かす視点を持つことを意図しました。ある程度体得できたところで、現場へとブレイクダウン。営業マネージャーたちにメソッドを落とし込み、数値目標達成への具体的なインパクトを狙いました。
最終段階は、最前線で商品を買取する全店長への手法の浸透。当時は、決まった数値管理のルールもなく、彼らは「KPI」という言葉すらも耳慣れないような状態。そこから言葉を学び、管理方法を学び、数値管理の「型」を全店共通にすることで、仕組みのもとに数字を追えるようになった。共通の「型」を使うことで他店との差も意識しやすくなり、店長の育成機会としても有効でしたね。
この2年間で“売上利益を獲得していく”メソッドを全組織で獲得しました。
高森(コーチ):当時は全店で約50店舗。セッションを機に全店長が一堂に会することで横のつながりが生まれました。同時に、本社の経営方針やマーケティング戦略を理解するきっかけになり、ビジネスの全体像が認知され、本社の意図と店舗の活動がつながった。
買取額の1%の差が、組織全体では数千万円のインパクトを生む利益構造を再認識し、適正価格で買い取る活動が広がりました。
嵜本:印象的なのは「疑問文」のつくりかたです。問題を「どのようにすれば〜できるか」と「疑問文」に変換する際に、期日を入れると効果的、ワクワクすると効果的、など、「疑問文」のつくり方次第で解決策に差が出ることを知りました。以来、『どれだけ良質な「疑問文」をつくれているか』と、常に自問しています。
また、セッション中は「疑問文」を見れば思考がわかる。僕が解決したい問題と他のメンバーがつくった「疑問文」にギャップがある場合は、視座がズレている証拠。
そのときは僕からも変更や提案のリクエストを出して目線をそろえつつ、最終的には彼ら自身が『解きたい』と思う「疑問文」をつくり上げます。会社に与えられた「疑問文」でなく、自分の言葉で組み立てるからこそ「所有感」があり、自走力が高まる。僕らには効果的でした。
高森:嵜本さんはどんな細かなプロジェクトのセッションも全てオブザーブし、彼らがどんな言葉で会話するか、非常に細かく聞いています。チームのレベルを把握して次の一手を選択する、情報収集の場でもありますね。
嵜本:2018年の上場直前に、完了しました。“目標を設定して現実とのギャップを埋めていく”という「すごい会議」の仕組みが社内で当たり前に認知され、現場から「自分たちでできる」といった表現が出始めたタイミングでした。
嵜本:例えば、僕自身がつかめていない現場のリアルな課題を知りたいとき。または、その事業の成長が会社にとって重要だと確信したとき、かな。
高森さんがいると会議の質が格段に上がり、テコ入れができる。そのパフォーマンスの高さが必要だと判断したときに依頼します。
耳が痛くなるような社員の本音も、高森さんがいることで出やすくなる。誰がどんな考えを持っているのか、素質があるのか、人材発掘としても効果的な場です。
高森(コーチ):特に印象深いのは、“世界中で買って世界中で売る”ことを仕掛けたプロジェクトです。海外での取引実績が0件という状況を踏まえ、「1カ月で何が起きればブレイクスルーと言えるか」と問いかけると、「1件でも取引実績が生まれること」と、声が挙がった。
それならば、と、その1件をつくることだけにフォーカスした結果、14件もの実績が生まれたんです。明確な目標を全員で決めたことで、強い「所有感」とコミットが生まれた結果であり、手応えという意味で象徴的なケースでした。
嵜本:選択と集中ですね。解決すべき最大の問題は何か、最も旨みのあるKPIは何か。それを見つけて意思決定できるかどうかが鍵になる。
僕らが意思決定するまでのプロセスを現場メンバーも会議で見ているので、目標への理解が深まり、推進力も上がります。
嵜本:全てのプロジェクトが参加者全員にとって手応えのあるものでした。新たな知見や経験が、パフォーマンスの向上につながっています。
なかでも僕が感じる「すごい会議」の価値は、未来を見据えた“重要度の高い”問題に取り組めること。目の前にある“緊急度の高い”問題の解決に忙殺されず、信念を持って“未来に投資する時間”をつくる。それが「すごい会議」を続ける意義であり、価値です。
高森(コーチ):「いま」解決すべき問題が山積するなかで、5年後、10年後を見据えて未来の問題解決をしにいける人は、そう多くはいません。
嵜本さんは多大な人件費と時間を投下して、あえて未来の会話をしにいく。その結果、仲間と未来を共有できるからこそ、『その未来に向かうなら今はこの選択が必要だね』と、一体感ある組織がつくられます。
嵜本:僕一人の力でできることは限られているので、頭を下げてでも優秀な人に頼る方が絶対に得だし、スピードも速い。そこへのエゴもプライドも、僕には一切ありません。立場も役職も関係なく全ての関係がフラット。自分より優れた人は星の数ほどいます。
その個々のスペシャリティを引き出し、オーケストラのようにミックスして総合的に力を最大化することは得意なんです。尊重して信頼し合うことで組織のパワーは自然と上がり、行きたいところに確実に行ける。スポーツと一緒ですね。
「すごい会議」のプロジェクトも、いかに高森さんの優秀さを生かして僕らの成長を加速させられるか、と考えた結果に過ぎません。
高森(コーチ):嵜本さんは、「チームをどう機能させるか」という話を常々されていて、『誰が参加すると、その問題解決は機能するのか』と、俯かんで見ている。いい意味で、自分の力を信じていないところが嵜本さんの素晴らしさです。
嵜本:他の誰より、経営者が成長できることです。自分がしているビジネスとは何なのか、存在意義はどこにあるのか。
過去・現在・未来という時間軸で自分を見つめ直す貴重な時間であり、意図的につくらなければ決して手に入らない時間。言うまでもなく、僕自身と会社の成長につながっています。
その源は「すごい会議」というより、「高森さん」。彼がいるから今の僕がある。「高森さん」という人の魅力を買い続け、彼に経営の相談をし続けている、それが核心です。
嵜本:常に幅広い情報と知識を蓄え、適切に、ナチュラルに経営者の耳に入れて気づかせる能力。経営者の意思を尊重しながらも、経営者のエゴとは感じさせずにメンバーを巻き込み、自主性を高めるコミュニケーション。
人として深みがあり、常に心を開いてさらけ出している人です。彼の魅力を引き出すことさえできれば僕自身も会社も成長できる、それに尽きます。
嵜本:相性がいいのはスタートアップかな。起業から3〜5年で、経営者の思い描くことがうまく現場で機能しない、スピードが上がらない、といった悩みを持つ組織。そのタイミングで高森さんと出会えれば、多くのことを実現できるはず。
うちのように、明確な目標はあっても仕組みや体制がない、全員が腹落ちして目標を追えていない、といった状況にも効果的。社員にとって「所有感」ある目標に変換できますよ。
嵜本:成長ドライバーかな。組織のアップデートや再定義を含め、成長の原動力になりました。
上場という一つの契機を経て、ステークホルダーの期待に応え続ける環境に身を置いている今、改めて自分軸に立ち返るタイミングにあります。
事業を続けることは僕にとって人生をかけた遊びのようなもの。楽しみも喜びも大きいからこそ、今後は成長を前提とせず、自分のやりたいことをフラットに表現して評価される状況をつくっていきたいですね。
僕自身が心から大切に思うこと、大切な人を笑顔にすることにこれまで以上にフォーカスし、新たな“自由”を探求していきます。