株式会社アンカーマン
どのようにすれば今までの延長線上にない未来を創れるだろうか?
篠宮:当社では、人材派遣事業、ITソリューション事業、サロンコンサルティング事業など複数の事業を展開しています。
今回の「すごい会議」の導入は、取締役の大柴が管轄するシステムエンジニア事業でのマネージャー育成のニーズがきっかけでした。当初は一事業部のみでの導入を検討しましたが、「高い目標を掲げて達成を目指す」という「すごい会議」の特色から、グループ全体への導入を決めました。
というのも、以前の当社には「高い目標を目指す組織文化」があったんです。しかし、この20年でさまざまな組織の変遷を経験した結果、いつしか「安全圏の目標を掲げる文化」に変わってしまった。
近年のコロナ禍の影響を受けつつも、昨年、過去最高益を出した勢いに乗り、組織をさらにリブートすべく「すごい会議」を導入しました。
篠宮:開始当初は、「グループ全体に大きな『違い』を生みだすアクションをつくる」ことを目的に、選抜チームを構成しました。しかし、そのメンバーが“各事業部の責任者”と一致しないことで問題解決に支障が出てしまったんです。
グループの売り上げを伸ばすには各事業部の成長が不可欠なものの、部門によってビジネスが大きく異なる当社の場合、担当責任者にしかわからない領域も非常に多い。
改めて、「各事業部の成長にフォーカスする」と方針転換し、事業部の責任者をプロジェクトメンバーにアサインしたことで問題解決がスムーズに進み始めました。
篠宮:この1年間の継続的な問題解決が行動として蓄積されたことで、“高い目標を掲げて実行プランを組む”文化をグループ全体に定着させられた実感があります。
売上利益の数字に成果が現れるにはまだ少し時間がかかりますが、成果を生む方法を見つけられた手応えはある。数字に跳ね返る予兆も見えています。
大柴:とにかくがむしゃらに、あらゆる問題解決を試み続けた結果ですね。例えば、新規案件の獲得へのトライ、その後の既存顧客を強化する方針へのトライ、など。結果、右肩上がりの成長が生まれ始めました。
意思決定して実行し続けることで、試行錯誤するサイクルが早まり、伸び悩んでいた事業も伸ばせる仕組みが整った印象です。
大柴:「提案・質問・リクエスト」などの、効果的な「言葉」のフォーマットを使いこなせるようになったことで会議の会話のレベルが上がり、メンバー間のコミュニケーションコストが減りました。
また、当社の店舗ビジネスのコンサルティングにも展開できています。例えば、美容サロンが抱える新人育成の課題に対して、「すごい会議」のコミュニケーションを交えたマネジメント手法を提案をすることで、サロンの人材育成にも成果が現れていますね。
大柴:まだ100点とは言えませんが、主体的に考え行動する力が養われたことで、明らかに全体のレベルが上がりました。それ以上に変化したのは、交流のなかった事業部間に親交が生まれ、社員同士の人間関係がより良好になったこと。
事業部によってオフィスの拠点も異なる縦割り組織な上にコロナ禍の影響もあり、以前は、直接話す機会すらないメンバーも相当数いたんです。しかし、「すごい会議」で一緒に問題と向き合うことで新たなつながりが生まれ、マネージャーとしての悩みを相談し合う絆も生まれた。単純に、仲間と仲良くなれたことがうれしい副産物ですね。
篠宮:いい意味で、先入観を壊してもらいました。というのも、以前は、事業責任者は自分の事業さえわかってくれていればいい、と思っていたんです。全事業を俯かんしてアドバイスするのは、私や大柴がすればいいことだと。
しかし、「すごい会議」が進むごとに参加メンバーの引き出しが増え、私たちが口を挟むまでもなく、彼らが的確に意見し合うようになった。
成功事例を転送し、アイデアを吸収しながら成長する姿に、私がいなくても回る「自走組織」とはこういうことか、とイメージできたことが大きな収穫です。
篠宮:今思えば、これまでの会議はただの“報告会”。本来は、報告の先のディスカッションが重要だということに「すごい会議」で気づきました。
加えて、「すごい会議」は、事業にインパクトを与えるであろうポイントに焦点を当ててディスカッションできる点がいいですね。解決したいこと、共有すべきことを部門の垣根を越えて会話できるので、問題解決のスピードが上がる。3時間をかけて会議する価値はそこにある。
この1年で、会議を本質的に活用できるようになったので、今後は私たちなりにアレンジしながら「すごい会議」を社内に広めていきます。
和田(コーチ):この組織の素晴らしさは、ボードメンバーが経験した「すごい会議」を、彼らがコーチとなって下の階層の社員に実施すると決めたことです。
そのためのツールも独自に開発し、「すごい会議」を自社風にカスタマイズしながらパフォーマンスアップの仕組みを全社に浸透させる計画です。
大柴:やはり高い目標設定ですね。その目標を共有したからこそ課題が浮き彫りになった。しかも、会議のオープンな場で目標にコミットするので、自分だけ「できませんでした」とは言えません(笑)。
達成が厳しくてもやり遂げようと踏ん張れるのは、人にやらされる目標でなく自分たち自身がつくった目標だから。
「日本一レベルで問題解決できたとすると、どうなるか」と、和田さんに問われるうちに気持ちが昂り、「日本一」のレベルに目標が高まる。一段上の自分たちにマインドセットされることが、基準の高まるポイントですね。
和田(コーチ):今抱えている問題を「業界トップ」「日本一」というあり方で問題解決できたとすると、その先にどんな未来が見えるか、という視点を用いて基準を引き上げます。
特にこの組織では、ツートップである篠宮さんと大柴さんのコミットメントの高さが伝播し、周囲も目の色を変えて上を目指した、というのが全体像としての印象です。
大柴:発言しにくいような雰囲気の会議も、常に「可能な限り愉快にやる」というあり方に誘導してくれるので、場のパフォーマンスが最大化します。私たちだけでは議論が止まってしまうときにも、第三者として的確な意見で議論を進めてくれる。会議を効果的に進めるための貴重な存在です。
篠宮:メンバーの様子を、一人ひとり、発言から顔つきまで細かく見て察知してくれるのが、優れたコーチとしての能力じゃないかな。
会議をしていると、一人の人間が場に与える影響の大きさを実感します。なるべく全員が、エネルギーの高い状態で会議に参加するために、会議中や休憩時間を使ってメンバーに声をかけ、いい雰囲気づくりを徹底してくれている姿が印象的でした。
篠宮:経営や組織の成長に関して、熱量のある経営者ですね。そうでないと、成果以前に、高い目標や問題と向き合い続けること自体が難しい。成果はあくまで後からついてくるもの。そのプロセスに耐え得るマインドが必要です。
大柴:例えば、高い目標にそこまで興味のない経営者がこの仕組みと出会い、活用の機会を手に入れたとすると、革命になるでしょうね。それほど、達成へのよくできた仕組みだと思います。
仕組みが整っていない、勢いで進んできたような組織やトップダウン型の組織にも、シフトチェンジを引き起こす強力な武器になるはずです。
篠宮:成長へのカンフル剤であり、冷えた組織を温め直す装置みたいなものかな。ポテンシャルがあるにもかかわらず、さまざまな事情やタイミングで温度が下がっている組織に最適。熱い文化が再燃し、「人」の顔つきが大きく変わります。
篠宮:この会社に関わる「人」の思いを起点に、それぞれがやりたいことや夢を事業化し、「人」が活躍できる場を広げ続けたい、というのが創業以来の変わらない理念です。
彼らが夢を叶えていく姿を隣で見られることが私にとっての喜びであり、仕事というより単純に楽しい瞬間。だからこそ、「すごい会議」でスタッフの仲がさらによくなったことが純粋にうれしいんです。
今後、事業を任せていける人間がもっと増えれば、私はまた新たな取り組みに着手できるので、喜びも一層拡張していける。仲間が集まる場所を増やし、家族や友人や恋人に、この会社に属することを誇れるような会社にしていきます。