すごい会議

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CASE STUDY すごい会議の実施例

「“絆”が育った感覚がある」属人的な職人文化の組織課題を、仕組みで解決

クレインホーム株式会社

設立
2004年
資本金
500万円
従業員数
10名 ※令和5年10月1日現在
事業内容
横浜市青葉区を中心に、リフォームに特化した内装デザインや設計施工、医院・クリニックの開業、店舗工事などを広く手がける。年間施工件数は100件以上に及び、建築士や施工管理技士、大工などの多様な専門スタッフの在籍により、設計から施工、アフターメンテナンスまで、高品質にトータルサポートできることが強み
担当コーチ
和田 直人

職人集団の改革。成長への新たな試み

約1年前、どのような期待を持って「すごい会議」を導入いただきましたか。

浦田:僕自身がもともと大工をしていて、そこから工務店を起業して今に至ります。社員のほとんどは職人。事業領域は、新築からリフォーム、リノベーションまでの全般で、最近ではクリニックや店舗の施工なども請け負っています。

「すごい会議」導入の目的は二つ。一つは営業意識の強化です。職人集団なので、彼らに数字を追う意識はなく、仕事を取ってくるのは主に僕だけ。営業要員も1名いますが数字は伸び悩んでいます。社員一人ひとりに、売り上げを“つくる”視点を持ってもらうことで営業力強化を狙いました。

もう一つは、業務の可視化です。大工は個人事業主としての働き方が一般的で、仕事は個人で進めます。職人同士、お互いに口出しせずに一人で完結できる働き方が強みの一方で、担当以外が業務を把握できないことで、問題発生時の対応に遅れが出るリスクがありました。各自の仕事を共有し、会社としてオープンな管理体制に変えるべく「すごい会議」を導入しました。

現場の職人のみなさんの、「すごい会議」への反応はいかがでしたか。

浦田:最初はかなり嫌だったみたいですね(笑)。工務店は裏方業なので、基本的に、表に出て発言したいようなタイプはいません。しかも、全員で集まる会議もこれまで一切してこなかったので、いきなりの「すごい会議」は変化が急激でした。

開始当初は、和田さんに“言われてやる”、“モチベーションを上げてもらう”といった状態でしたが、それでも、僕からすればやらないよりは遥かにいい。今では、彼らも会議に慣れつつあり、以前よりスムーズに発言してくれています。

現場の声「仕事にも会社にも口出ししていい、という新感覚」

現場で働く中島さんに、「すごい会議」をどのように捉えているか、お尋ねしました。

中島:私は比較的、前向きに捉えていました。全員で会議をするという体験すら、私たちにとっては初めてであり大きな一歩。

仕事柄、仲は良くてもお互いの現場に口出ししない、現場は職人個人のもの、という意識があり、会社に対しても同じ気持ちでした。経営に口出しする立場ではないと思っていたんです。

それが、この会議で“仕事にも会社にも口出ししていい”と、思えた。いいアイデアは、どんどん実現させていきたいですね。

他のメンバーの様子はいかがですか。

浦田:最初は誰もが、座って会議をする、ということ自体に慣れていなかったと思います。意見を出すにも、何をどこまで言っていいのかわからない戸惑いがあった。でも、今は会議に慣れてきたことで、割とリラックスして参加し、意見できているように見えます。

中島さんは、毎週の進捗会議の司会もされています。「すごい会議」のどんなコンテンツに効果を感じますか。

中島:最初は意図がわからず、でも途中から効果を感じ始めたのは、会議冒頭の「前回の会議から今日までに、うまくいっていることは何か」という質問です。

プライベートでも、仕事でも知らなかった人としての一面が見えたり、一緒に喜んだり。これまで以上にメンバーとの距離が近くなった気がします。仕事の成果を聞けるのもうれしいですし、場の雰囲気がよくなりますね。

「この会社の問題が何か、見えていなかった」

改めて、浦田社長は、どのような導入成果を感じていらっしゃいますか。

浦田:「すごい会議」を実施するまで、僕自身もこの会社の問題が何か見えていなかったというのが一つの答えであり、そこが可視化できたことが価値でした。

売り上げを追うと決めてこのプロジェクトを走らせたものの、個々の仕事のフタを開けてみると、予想以上に仕事の進め方に個人差があるとわかり、課題が見えた。少人数でもこれまで問題なく仕事を管理できていたのは、ある程度の経験を積んだ人間が集まっていたからで、人を増やせばスキルに差が出るのは当然のこと。属人的な仕組みがブラックボックスを生み出していました。

未来の数字づくりよりも、まずは目の前の現場の問題解決が先決だと、僕自身の意識が変わりましたね。

仕事の進捗を共有し合うことで、社内にどのような変化が生まれましたか。

浦田:会社より現場にいる方が多いので、毎週集まって状況を共有し合うこと自体が大きな変化です。

結果、スタッフ同士のつながりが強くなった印象があります。以前は、自分の仕事以外は完全に他人ごとだったのが、今では問題のある現場に関して早めにヘルプを要請して助け合う動きが生まれた。数字への意識も、以前よりも芽生えたんじゃないかな。

“すごい会議”は、「会社を育ててくれる会議」

営業の問題解決では、どのような解決策に取り組みましたか。

浦田:全員でテレアポをしたり、自分の知り合いに声掛けをしたり、商業施設のイベントでブースも出展しました。現場の職人が営業活動をすること自体が珍しいので、僕らにとっては非常にチャレンジングな取り組み。結果、営業先も増えました。

現場メンバーからすれば気の進まない活動だったかもしれませんが、僕としては、やったことのないことをやること自体に、大きな価値を感じました。

和田コーチはどのように貴社に貢献していますか。

浦田:会議に不慣れな僕らが意見しやすいよう、ざっくばらんな雰囲気をつくってくれて、僕にはできないような突っ込んだ質問を的確に投げかけてくれる。さまざまなコミュニケーションでメンバーのモチベーションを上げながら、会話を前に進めてくれる点が非常に助かっています。

「“すごい会議”ってなに?」と聞かれたら、なんと回答されますか。

浦田:会社を育ててくれる会議、かな。問題が明確になり、メンバー同士の新たなコミュニケーションの形も模索できる。僕は人が好きでスタッフが大切だからこそ、会社に「絆」が育った感覚があることが、うれしいんです。

根本的な問題と向き合い確実に前進できるので、成長へのボトルネックを抱えている組織におすすめします。

理想の働き方に向け、問題と向き合う

成長に向けた、今後のフォーカスポイントをお聞かせください。

浦田:今の最優先事項は、現場で起きている問題の解決。ただ、そこは僕が仕事の「型」である基盤をつくることで、解決が見えています。「型」を起点にすれば、今後は多少の問題解決で進める。

と同時に目指すのは、数字面の達成ですね。まずは利益率を上げることから取り組みます。例えば、今まで2カ月以上かけていた現場を、僕の「型」のスケジュールに乗せれば1カ月半に短縮できる。

一人当たりの生産性が上がれば仕事のサイクルが早くなり、受けられる案件が増えて売上利益が上がる。実現して数字が伸びれば、100点です。

和田(コーチ):当初のプランでは、メンバーの方の数字意識を強化することで浦田さんは現場から離れる狙いもありました。しかし、現実の問題が明らかになったことで、今一度ご自身が現場にしっかり入ると方針転換された。

一度チャレンジしたからこそ見えた道であり、明確に意思決定したという事実が前進の証ですね。

浦田社長が描く、貴社のビジョンをお聞かせください。

浦田:会社の拡大については今のところ保留で、どちらかというと、メンバーがもう少し楽に仕事ができる状態をつくりたいと思っています。

例えば、業界的に職人は休みが少ないのが当たり前という状態なので、もう少しバランスを取り、彼らが自分の時間を持ちながら経済的な余裕を持って豊かな時間を過ごせる形にしていきたい。

そのために会社としてどう問題解決できるかが鍵であり、一つは、個人のパフォーマンスを上げることが解決策になりそうです。

ありがとうございました。

和田 直人 わだ なおと

株式会社アンカーマン

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