株式会社ディシジョン
青山学院経営学部卒業。アメフト部副将。銀行に入行。株式会社PlanDoSeeに転職。マネージャー時代に「すごい会議」を受け、衝撃を受ける。社内ですごい会議を広めるソリューションコーチ第一号となり、全店舗に導入。
望月:僕がナップスの社長になって5年。直近のコロナ禍で不自由な販売活動を強いられたことを機に、経営の主導権を本社が握り、全国に30店舗以上ある店舗は本社の指示に従うだけ、という中央集権の構図が固定化していました。
本来ならば店舗のスタッフが主導権を握り、現場が自律的に生き生きと活動することで売り上げを生みだす状態が理想。僕の使命の一つは、店舗主導の分権制を取り戻すことにある。
では、どうすればコロナ禍明けの今、最速でその状況をつくれるのか。自社で取り組めば3年はかかるところを、「すごい会議」を入れれば半年でできると直感したことが、即決の最大の理由です。
望月:一つは、信頼する社外取締役からの紹介です。当社を熟知した彼からの「絶対に入れた方がいい」という強い薦めを受け、その時点で気持ちはほぼ固まっていました。その上で、雨宮さんが担当する製菓メーカーのセッションをオブザーブさせてもらったことが決め手です。
そのセッションでは、100名以上の販売スタッフが一堂に集い、焼き菓子という差別化しにくい商材をテーマに積極的にアクションプランを提案し合っていました。商品開発や価格設定などの要因に逃げずに、“自分たちができること”を真剣に議論する姿がよかった。当社でも「その状態をつくりたい」と、思ったんです。
望月:創業60年を超える当社は、20代の新卒から60代までと社員の年齢層も広く、「すごい会議」を成長の機会と喜ぶ人間もいます。変化を嫌う人間もいる。セッション初日の僕からのオープニングスピーチでは、「店舗運営の操縦かんを、あなたたちに渡す」という僕からの意図を、100名にしっかり伝えました。
やる気への着火スピードも人それぞれですが、回を重ねるごとに会議への本気度が増す人間が増えていることは確かです。
僕から見て、次世代の中心選手になるであろうメンバーが可視化されたこともよかったですね。セッションの様子を観察していると、人物特性や仕事へのモチベーションが見えてくる。人生における仕事の比重はどれほどなのか、どんな野心を持っているのか。適切なポジションに人事配置しやすくなりました。
雨宮(コーチ):人間は元来、非常に高い能力を持っている生き物である、という前提で私はみなさんに接します。一対一でも集団でも、その力を信じて覚醒させることにフォーカスすると、いつしか相手も「自分はできる」と思い始める。「できない」という誤った思い込みを書き換えるのが私の仕事。
「やれる」と信じ切ったチームの方が、必ずパフォーマンスは上がります。
仕事に主体的になり、会社も人生もハンドルを握るのは自分だという思考になれば、エネルギーは自然と上がる。セッションのたびにその熱を高めることを意図しています。
雨宮(コーチ):目にみえる成果は、まだ小さなものしか生まれていません。月間で20、30という数のアクションプランを実行しても、そのほとんどは失敗するのが通常。ただ、そのうちのいくつかは成功する。
「微差が大差をもたらす」という信念のもと、生まれた微差を見逃さずに全体に共有し続けることで、半年、1年後には、その成功が雪だるま式に膨らみ、大差につながります。
望月:先日、僕の地方出張中にライバル店がシークレットセールをやるとわかり、急遽、対抗策を取る必要がありました。そこで、社内コーチを務める中心メンバーがフォーメーションを組み、意思決定者を決め、いつまでに何をするかの対策を数時間で練り上げてくれた。
以前は誰もが「社長、決めてください」というスタンスだったので、あの的確な動きとスピード感は「すごい会議」を経験していなければあり得なかったでしょうね。この会議が彼らを育ててくれました。
望月:「すごい会議」というより、雨宮さんですね。雨宮さんの言葉一つひとつが、起こるできごとや曖昧な感情を明確に言語化してくれる。問題解決へのヒントが詰まっています。
例えば、「目標の被害者になるな」という言葉は印象的でした。言われた瞬間はピンとこなくとも、あとになって『このことか』と実感する。「すごい会議」のシステム以上にコーチの“すごさ”が僕にとっての学びであり、思考や言葉を盗ませてもらっています。
望月:シンプルに、結果にコミットしてくれることです。僕や経営陣の顔色を伺うことなく、ブレない姿勢を貫いてくれる点が信頼の源。
特に印象に残るのは、初回のセッションです。各店の目標やKPIを決めるのは店舗スタッフ自身であり、会社は彼らが決めたことを全面的に応援するスタンスにあります。
しかし、そこで設定された目標の多くはチャレンジングにはほど遠く、誰がどう見ても“達成できそうな”目標ばかりでした。その保守的な姿勢を残念に思いつつ、「操縦かんを渡す」と宣言した手前、「もっと目標を上げろ」とも口出しできない。
もどかしさを雨宮さんに相談すると、店舗の未来を担うとはどういうことなのか、コーチ視点で非常に厳しく、場が凍りつくほどの感情を込めて彼らに喝を入れてくれた。結果、意図した通りの「すごい会議」らしい挑戦的な目標に変わりました。
嫌われ役をいとわず組織に迎合せず、本気の厳しさを放つ。成果にコミットしていなければ、決してできないコミュニケーションです。
雨宮(コーチ):私がコミットするのは、経営者が手に入れたい業績と経常利益。メンバーに嫌われるという解釈すら持たず、成果への最短経路を選択します。成果が上がればすべての過程は美談になる。その過程も含めて楽しみながら、進んでいただきたいですね。
望月:コロナ禍で業界は様変わりし、アフターコロナの新市場は今が活況。ここで業界内のポールポジションを取りたいというのが僕の狙いです。
しかし、扱う商品がバイク製品のパーツという特性上、買い替えサイクルは年単位かそれ以上。お客様の来店頻度にも限りがあるなかで、売上目標を倍にしたところで実現には無理がある。では、どうすれば売り上げ以外で業界に圧倒的存在感を示せるのか。
その答えの一つが、店舗の盛り上がりです。店舗が主導権を握り、店に活気が溢れて関係各所から「ナップスさん、元気だね」という声が聞こえ始めれば、数年後には売上利益にも跳ね返るはず。社内にスター選手も生まれます。そんな流れが理想ですね。
望月:過去の慣習や固定概念にとらわれがちな“思考のキャップ”を外すことです。今の延長で考えるフォアキャスティングの思考では、驚くような施策は生まれません。得たい未来像から逆算するバックキャスティングの思考を定着させるには、思考の制限を取り除く必要がある。
例えば、店舗別のキャンペーンを企画する際に、何をどこまでやっていいのか、ダメなのか。結果にとらわれず、「やりたい」と思ったことを積極的に試せるよう思考のシフトチェンジを促しています。
望月:例えば、先日はお客様がサイコロを振り、出た目によってポイント率を変動させるキャンペーンを実施しました。今までなら、結果の変動リスクが読めないからやらない、と判断していましたが、いざ試してみると現場は大盛り上がり。さらに、ある店舗では春のスーパーセール用にスタッフの帽子を手作りしたり、はっぴを着たり。集客の結果にかかわらず、今までにない活動にスタッフが盛り上がり、店舗に活気が生まれました。
今、重要なのは、自分たちで考えたことを実行できるという体験であり、チャレンジするムードを全社に波及させること。
もちろん、お客様が楽しんでくれれば最高ですが、集客の結果で企画の良し悪しを判断していては、フォアキャスティングの視点に戻ってしまう。今は「最高に面白いからやる」という、主体的なチャレンジ性を定着させることが優先。意思決定者としての僕のストライクゾーンはそこだということを、意思決定プロセスを見せながら表明しています。
望月:危機感を感じているタイミングですね。効果の強い会議なので、中途半端な気持ちで始めると、「あそこはいいけどここは良くない」と、ジャッジが生まれてブレーキがかかる。覚悟して信じ切る方が、効果を最大化できるはずです。
また、個人的に思うのは、変革のために組織を“壊す”段階よりも、再構築後に成長を加速させるタイミングで使うのがおすすめ。当社も組織や人材を抜本的に入れ替えてリセットした過去があり、今回は再構築へのアクセルとして導入しました。
「すごい会議」は人と組織を育てるものなので、その回転数をパワフルに上げたい組織に最適です。当社は非常にいいタイミングで導入できたと実感しています。
望月:非常にありきたりな言葉ですが、現場に活力を吹き込み、生き生きさせるためのもの、ですね。実際はもっと強烈なパンチのあるサービスなのに、表現が難しい。
社内リソースをフル活用し、現場主導で社員を輝かせたいという思いを3倍速、5倍速で実現できる。狙い通りに進んでいる手応えがあり、今後も加速させていきます。
望月:業界内の勢力図が変化すると同時に、社内でもスター選手が移り変わっていくタイミング。適材適所が進み、スターの原石が「すごい会議」を通して輝き始めた今、若手世代の台頭が楽しみです。
セッションが進むごとに問題も変化し、KPIの最適さやアクションプランの効果を的確に見極める必要性も感じます。今はまだ雨宮さんのコーチングについていくのに必死ですが、楽しめる余裕が出るよう、引き続き厳しく導いてくれることを期待します。
青山学院経営学部卒業。アメフト部副将。銀行に入行。株式会社PlanDoSeeに転職。マネージャー時代に「すごい会議」を受け、衝撃を受ける。社内ですごい会議を広めるソリューションコーチ第一号となり、全店舗に導入。