株式会社アンカーマン
どのようにすれば今までの延長線上にない未来を創れるだろうか?
小林:税理士事務所のなかでも不動産の賃貸経営をする家主のサポートに特化していることが特徴です。運営の収益に対する所得税や法人税の節税、相続対策など、運営と対策の両軸で事業化している事務所は少なく、そこを強みとしています。
小林:創業以来、事務所の成長を意図してトップダウンでものごとを決めてきましたが、もっとスタッフが主体となって動く組織に変えたかった。その状態をつくりながら売り上げを伸ばすために、新たな試みとして導入しました。
小林:トライアルの会議は非常に盛り上がりました。事務所に関して、全員が本音で議論し合うこと自体が初めてであり、「すごい会議」でなければ言いにくいようなことをテーブルに上げながら、一つの目標をつくりだせた。心地よい高揚感と団結感を感じました。
目標へのモチベーションを維持する難しさを予感しながらも、この事務所をよりよい状態へと成長させられる可能性を感じたことが決め手です。
小林:私たちが想定していた今期の売り上げの2倍以上の金額を「すごい会議」の目標として設定しました。業態柄、スタッフの人数と担当できる案件数が連動するので、スタッフを増やさない限りは決まった成長曲線しか描けない。ここ数年、ゆるやかな曲線が続いていたところを、大きな右肩上がりに変えると意思決定しました。
小林:年内の売り上げは、導入以前の目標額の125%まで伸びる予測が立ち、目標額はすでに達成しています。つまり、「すごい会議」で高い目標を立てたことで、目標を立てなければ生まれなかった成果が生まれたということ。何より、スタッフが自分で考えて動いた結果が形になっていることが最大のポイントであり、期待以上の変化です。
また、売り上げを伸ばすには人材の採用が不可欠。売り上げが伸びてから採用するのでなく、伸ばすために人を採用するのは勇気がいりますが、「すごい会議」で明確な採用人数を定めてコミットした結果、売り手市場の状況下でも優秀な経験者を採用できました。
これらの成果を生んだのは、私が思うにスタッフの「やる気」です。目標を持って動いてくれる人が増えたことが、数々の成果につながりました。
和田(コーチ):多くの会計事務所がトップダウンの体制を取るなかで、現場を巻き込んで目標設定することで、スタッフの方に「私たちの目標」という意識を生みだし、かつ、達成を目指す過程で「私たちの組織」という、自分ごと感を生みだせた。みなさんの行動に「違い」を生みだす変化でした。
小林:目標達成への解決策として、既存顧客への値上げを実施しました。サービスの値上げは担当する側の心理的抵抗もあり、安易に踏みだせるものではありませんが、「このままでは目標を達成できないが、どうすれば可能か」という問いと真剣に向き合ったことで、幹部社員にスイッチが入った。
特に、組織のNo.2と言える人物が全力で推進した結果、周りのメンバーにも熱意が伝播し、今までにない成果が生まれました。
私が指示するのでなく、スタッフの主体的な提案から行動が生まれることが非常にうれしく、彼らには賞与という形で還元できた上に、求人への魅力づけとして給与のベースアップも実施できた。非常にいいサイクルが生まれています。
和田(コーチ):経営幹部の変化を感じた若手スタッフにもスイッチが入り、組織全体としてパフォーマンスが上がった。影響力のある方の意識を変えられたことが大きいですね。
小林:コーチの「聞く力」が素晴らしいんです。メンバーの意見を決して否定せず、正論をかざすのでもなく、しっかり受け止めた上で自発的な行動を促すよう問いかけてくれる。
和田さんは常にエネルギッシュに引っ張ってくれるので、私たちも「どう問題解決するか」と、前向きなアイデアが生まれます。同時に、社外の方に見られているという緊張感から「言ったからにはやろう」と、気合いが入り、行動が進むのもいい効果です。
小林:スタッフが進んで動いてくれるようになったことで、以前は、社内を動かすことに使っていた私のエネルギーを新たな取り組みに注げるようになりました。
例えば、確定申告時期のような繁忙期でも、不動産関係のイベントに参加してハウスメーカーとのコネクションづくりに励むなど、営業活動にアグレッシブに取り組めています。これまでは目の前の仕事に手一杯だったので、大きな違いです。
小林:スタッフが仕事にやりがいを感じながら目標達成してくれていることですね。他業界から入社したばかりのスタッフも「すごい会議」で積極的に発言し、主体的に動いてくれている。
この事務所を立ち上げて約10年。ベンチャー企業のようにワンルームから始めた事業ですが、少しずつ拡大を続けた結果、よくも悪くも成長が落ち着いてしまっていました。そこを今一度刺激し、挑戦のマインドを吹き返せたことがうれしいですね。
小林:スタッフ主体の組織をつくれる会議、かな。試してみないと分かりにくいサービスですが、少なくとも私たちにはマッチしました。「売上利益を大きく伸ばしたい」など、組織成長への意図を明確に持つ経営者に合うサービスだと思います。
小林:投資対効果として考えると80%。残りの20%は、この会議にマッチしない人もいるという振り幅の強さです。
私たちは、昨年から営業力の強化に向けた教育に取り組み始め、その上で「すごい会議」を導入したことで組織の営業色は一層強まりました。その方針に賛同できないスタッフがいることは事実ですが、私自身は、たとえ営業力強化が起点であっても、顧客支援のメニューを拡大することは、顧客の悩みにアンテナを巡らせるいいきっかけになると捉えています。
今後は、会議のメンバー以外のスタッフにも積極的な行動が生まれ、「すごい会議」で決めたことが会社のルールになっていく状態が理想。労働生産性を上げながら売り上げを伸ばしていければ、「すごい会議」を手放せなくなりそうです。
小林:次なる課題はスタッフの教育。「人」に紐づく属人的なビジネスだからこそ、誰が担当しても高い水準の支援を実現する必要があり、キャリアに関係なく品質を担保するための教育が欠かせません。
組織を力強く牽引してくれるメンバーの存在も重要ですが、大口契約が取れている今、全社員の力を底上げし、プロセスや基準を標準化していく必要がある。スタッフを増やしながら、いかにサービスの質を高めていけるか。信頼性にかかわる課題と向き合っていきます。
小林:売り上げ10億円規模の組織を目指し、専門税理士としての知名度を高めながら質の高いサービスを提供していきます。そのためにも、よりわかりやすくサービスを構成し、他の税理士事務所との差別化を図りながら私たちが提供できる価値を伝えていきたいですね。
この事務所を愛してくれる人材を増やしながら、モチベーション高く議論し合い、成長への問題解決に取り組んでいきます。