社長ご自身は、すごい会議を通じて変わった点がありますか?
薄葉: 口を出さなくなりました。今、営業に関わることはほぼ全てスタッフに任せています。以前は、気になるからついつい(笑)。 経営者“エゴ”というか“勘違い”で、口を出しても出さなくても結果ほぼ変わらないんです。だったら、 現場の人間に任せて結果につなげた方が、「次も頑張ろう」という気持ちになるし、責任感も生まれる。
太田: 「社長の仕事は彼らに答えを出す事じゃなくて、クイズを出す事です」というセッションを行いましたよね。
薄葉: そうそう。それで僕自身も、「口を出さない」と覚悟を決めたんです。そのセッション後、リーダー達には、「この金額 まで はOK」と権限を与え、僕は細かい数字を見ないようにしたんです。見ると気になっちゃうから(笑)。大怪我する可能性はあるけど、最終的に僕が責任を取る覚悟でやってますんで。すると、みんな責任感を持って取り組むようになりましたし、何よりも僕が経営に専念できるようになりました。
スタッフのみなさんの感想をお聞きになった事はありますか?
薄葉: スタッフから、「“決める”って大変っスね~!」なんて聞きますよ(笑)。あえてしんどい決め事させていませんが、「自分で決める」こと自体が結構大変じゃないですか。でも、みんな柔軟性が高いですから、もう慣れてきましたよ。
僕が 21 歳頃から、「これだぞ、営業は」と信じている大切なポイントが 4 つあります。それは「数と気合とノリとタイミン グ」(笑)。特に「タイミング」つまり「運」、ポジティブであることと強く関係しますから、明るい社風を大切にしています。 くだらない事も含めて、前向きかつスピーディーに「これやってみよう!」と決め、駄目だったら戻す事ができる社風が、 すごい会議ととても相性が良かった。
また、すごい会議では自分でアイディアを書き出さなければならないから、「頭を使って大変だ」というスタッフが多いか な。仕事ができる人間はセンスもありますよね。だから、「お前のアイディアはつまらないな」と言われないためにも頭を使 わないと(笑)。まだ成長過程ですね。
すごい会議に直接参加していないスタッフにも変化はみられましたか?
薄葉: 会議に参加したリーダー達が、自分のチームですごい会議と同じ方法を取り入れているので、他のスタッフにも良い影響が出ていますよ。また、各チームで出たアイディアをリーダー間で共有するようになりました。今まではチームごとのミーティング内容はシェアされていなかったし、そもそもミーティング自体がほとんどなかった。
各チームで出たアイディアを社全体で実行する事もありますよ。たとえ「すごい飛込み」(笑)。通常飛込み営業で1人が担当エリアへ行き、ビルオーナーに「空き店舗ありませんか?」とたずて回ります。しかし、「すごい飛込み」でチーム全員が同じエリアに行き、場所を分担して街全部をバーッとローラー作戦で当たっていく(笑)。かなり成果が上がっています。
営業という仕事は、「気持ち次第で結果が 0 か 100 か」という側面があります。その時々でハイパフォーマンスが出せ れば結果につながります。みんなで同じエリアに行き、「俺がここを制覇しなきゃ」とモチベーションを高めたり、他のスタッフから電話で「いい話があったよ」と聞いて自分も頑張ったり。みんなでやるとサボれませんし。でも、それもマンネリ化する前に新しいやり方を取り入れ、変化を続けていく必要があると考えています。
太田コーチの印象についてお聞かせ下さい
薄葉: 太田さんが言われた「妖精が降りてきた」というフレーズが面白いし勉強になりましたよ。
太田 :「会議精霊」のことですか?(笑)。「スタッフが社長に対して言いにくい事」など、口にしにくい問題を伝えてほしい時に使います。「自分ではなく、会議の聖霊が乗り移って言わせているのだ」ということにして本音を話すのです。
薄葉: 太田さん 10 年前にゴルフで一緒だった頃と、すごい会議のプレゼンの時では印象が全く違います。昔「比較的大人しい方かな」と思っていたのですが、今回は「全然違うじゃん!」と(笑)。 ゴルフはあんまり上手くなかったからね。僕も人事言えませんけれど(笑)
弊社スタッフはどちらかと言うとノリと気合いを大切にしていて、「コンサル」など横文字が苦手。僕も同じで、なんとなく「頭がいいだけの人」を認めたくない(笑)。ノリが良くって営業マインド抜群の太田さんとは合ってましたよね(笑)
すごい会議と太田コーチはどのような会社におすすめですか?
薄葉: すごい会議に「合う」「向いている」のは、 やはり新卒を中心に組織されている若い会社。 柔軟だから受け入れ易さが全然違いますよね。 ただ、「やった方がいい」のは歴史ある古いタイプ会社でしょうね。 そもそも、「会社が伸びてない」時点でもう “ヤバい”んですよ。去年よりも今年が伸びていないのは何かがおかしいから、変えなきゃいけないんだけれど、そこが難しい。社長や経営陣の年齢層が高く、過去の成功体験を捨てきれないような会社は本当にやった方がいいでしょうね。なかなか導入に踏み切れないかもしれませんが。 そして、太田さん自身は、“打ったら響く”営業系会社が向いてますよね。
太田:営業系の会社が自分でも向いていると思いますよ。数字にも表れ易いですしね。
薄葉: すごい会議以外に、人事のマインドセット系の研修をスポットで利用したことがあります。比較してみると、すごい会議は年単位で継続し、ツールが同じで共通言語がある――つまりフォーマットが決まっているから取り組みやすいと思います。